建築や空間デザインを手がけていた2人だけあって、co-baはその内装にもこだわりがある。家具は再利用し、デスクや床、壁の1つ1つを自分たちで施工するなどして、すべてを作り上げている。
東京工業大学出身の中村氏が学生時代に利用していた製図室のイメージをベースにしているというスペースの壁は、全面が黒板のようにチョークで絵や文字を書ける。アイデアをメモしたり、スタッフが利用者へのアナウンスをしたりすることに加えて、利用者自身がco-baの空間をデザインできるようにとの考えがあるという。
また、デスクも一般的な長方形のものではなく、「枝葉が分かれた大樹」をイメージしてシナ合板で自作した。木の香りの残る中で利用者が作業する様子は、まさに名前の由来でもある”co-ba=工場”といった雰囲気だ。
「建築というハードの面からもコワーキングスペースを変えていきたい」——中村氏はこのように語る。「コワーキングはもちろんそこにいる人やソフトの面が大事だと思う。それと同時に、僕らはもっとハードの面も大事にしていけたらと考えた。建築などの分野を専門にしている僕らだからこそ、フリーランスやクリエーターがより活動できる空間作りができる。他の人たちとは違う視点も面白いのでは」(中村氏)
co-baでは、自分たちの思いに共感する人を集めるべく、マイクロファンディングサービスの「CAMPFIRE」 を使って出資者を募った。スペースの企画から立ち上げまでの過程を伝えていくことで、スペースを盛り上げてきた。。「利用者と作り上げていく」という意識が、早期募集の利用者増にも繋がったようだ。
スペースがオープンしてからも、利用者と空間作りについて議論しているという。「内装や家具の再利用に加えて、今後は書籍棚を設置して、それぞれが持参した書籍を自由に閲覧するスペースを作る予定。利用希望者との面談の中で出てきたアイデアも採用して、仕掛けを一緒に考えていきたい」(村上氏)
空間というハードウェアにも重きを置いてスペースを運営するco-ba。筆者と同年代の2人が利用者と共に一緒に作り上げていくスペースは、今後どういった色になっていくのだろうか。
◇注目集める「コワーキング」
自然に交流できる実験の場--下北沢オープンソースCafe
利用者を触媒に情報やアイデアを共有する経堂「PAX Coworking」
ソーシャル時代の新しい働き方「コワーキング」--日本最大級スペース「SSI」も公開
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