パーソナルクラウド時代に必要なサービスに--JoliCloud創業者

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 クラウドサービスに生活の記録がどんどん刻まれ、なくてはならない存在になる中で、さまざまなクラウドサービスを統合した“個人用のログ”を作ることが重要になる--フランスの起業家、Tariq Krim氏はそう予見し、パーソナルクラウドの必要性を説明する。

 かつてスタートページサービス「Netvibes」を手がけてきたKrim氏が2009年に創業したJolicloudは、Googleが「Chrome OS」を開発する前にネットブック用OSを開発したベンチャー企業だ。だが2011年に入ってからはクラウドにフォーカスし、社名と同じ名称のパーソナルクラウドサービス「Jolicloud」の開発を進めている。

 プロジェクトはすでにプライベートベータ版の運用に入り、一般公開を目指してつめの作業に入っている。「きっとユーザーに“すごい”といってもらえる」――Krim氏は満面の笑顔で語る。11月中旬、Ericssonが香港で開催したイベントで、Krim氏に話を聞いた。

--クラウドプラットフォームプロジェクト「Jolicloud」を発表しました。新プロジェクトの詳細について教えてください。

 クラウドコンピューティングのブームが始まった3年ほど前に、クラウドにより、一般ユーザーのデータであるパーソナルデータが爆発すると考えました。現在、Google、Facebook、Twitter、Instagramなどたくさんのクラウドベースのサービスがあり、ユーザーのデジタルライフの記録はこれらに分散しています。


Jolicloud Founder&CEOのTariq Krim氏

 少し前なら大切な写真は写真立てに入って飾られていましたが、いまはオンラインにあります。これをどうやって管理するか? そこから考えついたのが、パーソナルクラウドという構想です。

--Jolicloudは当初、ネットブック向けOSとしてスタートしました。

 われわれは複数のデバイス、たくさんのサービスを利用しています。つまり、デジタルライフはこれらたくさんの端末とサービスに分散しているのですが、これを追跡、管理することは難しくなっています。

 (Jolicloudを創業した)2009年はまだ「iPad」も「Chrome OS」も登場しておらず、メインレイヤを構築してはどうかと考え、OSの構築を始めました。Ubuntuをベースにしていますが、一般の人が使えるようにシンプルにしました。

 Joli OSは現在、約60万台のPCで利用されています。学校での利用も多く、700台は学校のPCです。古いコンピュータを再活用してクラウドのパワーを活用したいというニーズがあると読んでいました。実際、予算に制限がある学校や公共機関では予想通りに受け入れられました。

 ですが、iPadが登場し、「タブレット」というカテゴリが生まれました。どこでもJolicloudを利用してほしい——そう考えて、新しいJolicloudにたどり着いたのです。

 Jolicloudは、iPad、iPhone、Android、そしてJoli OSでも動きます。さまざまなデータソースからアグリゲーションして統合します。写真やドキュメント、音楽、動画、なんでも追跡できます。われわれはこれを「Trail」と呼んでいます。たとえば、Instagramで写真を撮り、Twitterでツイートし、Facebookでもアップロードし、それをだれかが共有し、そういったことをすべて一元的に表示、管理できます。

 昨日Facebookで何をして、Twitterで何をツイートしたか覚えているかもしれませんが、先週、1カ月前となるとどうでしょう? さらには、大切なもの、重要なものはその時々や状況により変わりますよね。数年後に、ある友人と一緒に写っている写真がどこにあるか探すことを想像してみてください。当時はそれほど重要でなかったかもしれませんが、数年後になってその写真の重要性が増すことがあります。Jolicloudなら、検索により簡単に探し当てられます。

 Jolicloudで目指しているのは、“エモーショナルストレージ”“デジタルの記憶”です。デジタルライフでは、1つ1つのアクションは小さくても、ユーザーにとって重要なことがたくさんあります。各サービスに戻って過去にさかのぼるのは大変な作業です。Jolicloudでは、昨日、先週、1年前にやったことを追跡できるようになります。また、香港で25枚写真を撮り、複数のサービスにアップしたとしても、Jolicloudはこれらが同じときに撮った写真だとわかります。

--対応するサービスは?

 当初、Flickr、Instagram、Twitter、Facebook、Picasaの5つに対応します。今後、Evernote、Google Docs、Tumblr、Dropboxなどに拡大します。最終的には100以上に拡充します。

 われわれが提供する唯一のサービスは、アプリケーションストアです。Joli OS上で動くアプリのコレクションです。JolicloudはGoogleがChromeでアプリストアをオープンする前からアプリストアを展開しています。

−−他社が公開するAPIに依存することになりますが、懸念はありますか?

  • JolicloudをiPhoneで利用しているところ

 Jolicloudは各サービスへのトラフィックを奪うものではありません。ユーザーは引き続きFacebook、Twitterなどさまざまなサービスを利用し、Jolicloudはそれをまとめることが目的です。

 いまのクラウドは、70年代のコンピュータ業界に似ています。当時コンピュータは大企業向けでしたが、Appleがパーソナルコンピュータをもたらしました。クラウドも今後、パーソナルになり、自分専用のクラウドを持ち、自分のデータ、自分が関連するデータにアクセスできる仕組みが必要です。

−−Joli OSは今後どう進化するのですか?

 Joli OSはパーソナルクラウドのJolicloudにアクセスする手段の1つです。OS自体はかなり安定しており、四半期ごとに改善を重ねています。OSはオープンソースでGitHubでコードを公開しており、コミュニティ活動も活発です。

--Jolicloudの価格やビジネスモデルについて教えてください。

 価格についてはまだ決めていません。ビジネスモデルはフリーミアムモデルを考えています。まずは無料のサービスを使ってもらい、有料にアップグレードしてくれるのが理想です。自分の人生にとって重要なものを保存するサービスと思えば、対価を払ってでも使いたいと思うのではないでしょうか?

 今はまず、すばらしい製品を構築することにフォーカスしています。現在、招待制のプライベートベータを提供していますが、すでに5万人がウェイティングの状態です。かなり安定しており、フィードバックを集めているところです。みんなを“Wow”といわせるような、すばらしい体験を提供できる製品を目指しています。大きなプロジェクトではありますが、1年以上研究開発を重ねてきました。スマートさとシンプルさは重要な指針となっています。

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