ウェブサービスと、モバイルおよび従来型コンピュータ向けソフトウェアの両方の事業で成功した別のCEOは、これに反論する。このCEOは、アプリは今後もなくならないと述べる。その理由は、「最小公倍数」戦略(ウェブを使うこと)は最終的に開発者や消費者のためにならず、そして最も重要なことにApple、Google、MicrosoftといったモバイルOSを開発する巨大テクノロジ企業にも望ましい結果をもたらさないからだという。
アプリ開発者にとっての課題は、自分のアプリを一瞬よりも長く見てもらうことだと筆者の情報筋は説明する。ウェブアプリの開発者にとって、良い方法は存在しない。人気サイトでウェブアプリが良いレビューを得たとしても、その影響は一時的なものだ。アプリを潜在顧客に何度となく見せるには、アプリストアで取り上げてもらうのが良い。
そのために開発すべきアプリは、ユニークなハードウェア機能、つまりハードウェア企業が製品の売り込みに利用している機能を引き出すものだ。これらの機能は、ウェブアプリでは現在、あるいは近い将来に利用できないものだろう。それは、HTML5が進化しないからではなく、デバイスおよびOSメーカーは自社の製品を最小公倍数的なウェブプラットフォームの一歩先を行くものにしようと常に最善を尽くしているからだ。メーカーはこのようにして製品を売っている。
したがって、モバイルアプリの開発者はそのトレンドに乗るべきだ。なぜなら、それによって自分も利益を得られるからだ。
では、HTML5はどうか。HTML5は、販売をアプリストアに依存しないアプリにとっては良いものだ。本質的に、それはエンタープライズアプリケーションのことを指す。HTML5は消費者アプリの中でも存在価値があり、成功を収めている多くのモバイルアプリにも使われている。しかし、中核的な機能やメインのUI向けではない。
筆者の情報筋は、モバイル分野で広範な互換性を短期間で実現しようとしてHTML5に依存することには、落とし穴があると言う。成功するためには、各プラットフォームに別々に取り組む必要がある。実際のところ、携帯電話の最新かつ最高のバージョンでのみ動作するアプリを開発し、意図的に過去のモデルを除外するという手もある、と情報筋は述べる。その場合、確かに利用できるユーザーの数は減るだろう。しかし、最新機種を購入する全ユーザーがそのアプリを使うことができる。アプリによって最新のハードウェアの魅力が増すほど、そのアプリはハードウェアやOSのメーカーから多くのプロモーションを得られるようになるだろう。そうなれば、アプリはほかの方法では不可能な存在感を持つことができる。製品が最新のハードウェアで成功した後で、ほかのプラットフォームへの移植に着手すればいい。
モバイル世界全体を一気に征服しようとすると、マーケティングパートナーを失うことになる。もっとはっきり言うと、誰も負けないような状況で勝利を収めるのは難しい。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境