Facebookは2004年にハーバード大学で大学生向けのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)として誕生した。その後ユーザーが世界中の友達をつなぎ、現在登録者は8億人を数える。Facebookはインターネット空間だけでなく社会や政治にも大きな影響を与え、Twitterとともにウェブのトレンドを作り上げている。
Facebookを設立したのは、現在もCEOとして会社を引っ張るMark Zuckerberg氏、それにDustin Moskovitz氏、Eduardo Saverin氏、Chris Hughes氏の合計4人だ。そのHughes氏が11月、香港でEricssonが開催したイベント「NEST」にてメディアの取材に応じた。
Hughes氏はFacebookの共同設立者としてはもちろん、2008年米国大統領選に立候補していたBarack Obama氏のオンラインキャンペーンを手がけ、当選に寄与したことでも知られる。現在Hughes氏はFacebookを去り、2010年に非営利団体Jumoを立ち上げて慈善団体のネットワーキングに乗り出している。
Facebook立ち上げ当時についてHughes氏は、「ほかの大学生と同じように、自分も大学生だった。会社が大きくなることを夢見ていた」と振り返る。「学んだことは起業家精神。既存のビジネスや組織を恐れずに挑戦する精神」と言う。
同時に、Facebookは一夜にして大きくなったのではなく、数年がかりで成長したサービスであることも強調する。「ただ単にアイデアが現実になったのではなく、何年もかかって実践、実現していった。大切なことは、正しいアイデアが正しいタイミングで起きることではなく、よいアイデアがあり、それを組み立てながら、環境に適応すること」と述べる。「インターネットも人も社会も、リソースや技術だって変化する。そんな中で企業を作っていかなければならない。Mark(Zuckerberg氏)は若いが、会社を作ったというだけでなく、会社を引っ張るという点でも比類なきリーダーシップを発揮していると思う」とZuckerberg氏を賞賛した。
SNSについては、「人が発言し、情報を組織し、作成した情報を共有するなどのことができる。だが実は、これらは大体において、これまで人間がやってきたこととさして変わらないと思う。友達、家族などとつながり、コミュニケーションし、意見を聞き、新しいことを学ぶ……インターネットでより容易になったといえる」と語る。
そういったことからも、SNSは一過性のトレンドではないと見る。「人間は土台からソーシャルな生き物だ。人に関心を持ち、つながりたいと思っている。SNSはインターネットのファンダメンタル(基本)で、今後も常に存在し、利用されるサービスだろう」。もちろん、今後も機能革新が続く。「10年後のソーシャルネットワークは、われわれが今使っているものとは大きく様変わりしているはずだ」(Hughes氏)
同時に、ツールとしてのSNSの重要性も高まっている。「まず、友人がコミュニケーションし、その後ローカルなコミュニティ内にいる知り合いが結びつき、最終的に広いコミュニティができていく」(Hughes氏)。そうやって広がっていくと、パブリックに発言する人、オピニオンメーカー、知識人、コミュニティリーダーが生まれる。「これはエンパワーするものだ」とHughes氏は言う。
なぜなら、このような人が会話に加わり刺激を受けることにより、「人々は社会の中で自分ができること、どんなチャンスがあるのか、どのような市民になりたいのか、などと考えるきっかけになる」と言う。アラブの春はひとつの例といえるだろう。われわれはソーシャルネットワークというツールを手にしたわけだが、このツールは新しく、「Facebookなどのソーシャルプラットフォームは10年、20年と大きな視点でみる必要がある」と言う。
「情報の組織化」については、Googleが社命として行っていることだ。Googleについて聞かれるとHughes氏は、「GoogleとFacebookは非常に異なる」と答える。Googleは情報を探すという意味で重要なサービスであり、Facebookは友達や家族とつながり、情報を交換したり近況を知らせあうのが目的と説明、「情報を組織化するという点で方法が異なるし、ウェブの体験という意味でも異なる」と述べた。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」