Appleは6月の「iCloud」の発表によって、少なくともこの問題の一部の解決に着手しており、iTunesを搭載したコンピュータやiOSデバイスなどあらゆるデバイス上で同社から購入した楽曲を再ダウンロードする手段を米国などで提供している。以前のシステムでは、ユーザーはデジタルファイルをどこかに保存して、安全に管理する必要があった。
iTunes Matchはユーザーのライブラリの残りの部分、つまりApple以外の場所で購入した楽曲に関するライセンス問題の解決にも取り組んでいる。対象となるのは最大で2万5000曲だ。AppleのiTunesが始動したころの状況を考えると、このことは特に重要だ。iTunesがリリースされてから、Appleが「iTunes Music Store」をローンチするまでの間、同社のキャッチフレーズは「Rip. Mix. Burn(読み込み、ミックス、CD作成)」だった。これはCDから楽曲を抽出してライブラリに保存することを認め、奨励するものだと言える。
iTunes Matchが楽曲の保存の問題に対処するアプローチは、Appleのライブラリ内にある楽曲と一致するユーザーの楽曲を発見して、ライセンス付きの楽曲を提供するとともに、一致しなかった楽曲に関しては安全なデジタル保管場所を利用できるようにし、いずれの楽曲もあらゆるデバイスに再ダウンロードする手段を提供するというものだ。このこと自体が、Appleがストレージを再考する方法における最大の調整の1つである。もはやそれらのファイルをハードドライブに保存して安全に管理するということではない。その代わりに、Appleのライブラリにない楽曲まであらゆるものをクラウドに保管する高度に専門化されたストレージサービスに対して、利用料を支払うようになる。
このサービスは多くの点で「MobileMe」を思い出させる。MobileMeは、iTunes Matchの基盤であるiCloudの前身となったAppleのサービスだ。MobileMeの当初のうたい文句は「普通の人々のための『(Microsoft)Exchange』」というもので、年間利用料を支払っているユーザーに対し、ファイルや設定、連絡先を各デバイス間で使用できる機能を提供した。iTunes Matchと同様、MobileMeもAppleのシステムを使い続けてもらうことと引き替えに、非常に多くの高負荷作業をAppleのサーバ上で処理していた。
MobileMeはあまりにも多くのことをあまりにも早くやろうとして、安定性と利便性を実現する過程で多くの問題に直面した。今回、Appleはその教訓から学習したように思える。iTunes Matchの利用料はMobileMeの4分の1で、その用途はMobileMeよりはるかに絞られている。MobileMeはさまざまなサービスを1つに融合することを目指したが、iTunes Matchは単にiTunesとiCloudの一部であり、特定の動作を簡素化することが目的だ。とてもシンプルなものに思える。それがパフォーマンスの向上をもたらすことを期待したい。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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