Appleは少し前、「iPhone 4」および「iPhone 4S」で採用されているSIMカードについて、既に小型化が実現されているmicroSIMをさらに小さくしてほしいと述べた。そして今回、nano-SIMカードが事実上登場した。
ドイツのテクノロジ企業であるGiesecke & Devrient(G&D)は現地時間11月11日、microSIMを3分の2のサイズに小型化したSIMカードを発表した。同社によると、新しいnano-SIMによって、メーカーは現行のワイヤレス性能の水準を維持したまま、より薄型のデバイスを製造できるようになるという。
新しいnano-SIMは早ければ2012年にもモバイルデバイスに搭載される可能性がある。AppleとG&Dの関係は不明だが、われわれはこれまでの経験から、次世代iPhoneにnano-SIMが搭載される可能性も否めないと考えている。
技術的な話をすると、SIMの電気回路自体に大幅な変更が加えられたのはこの20年でこれが初めてである。なぜかというと、microSIMの電気回路のサイズと厚みは通常のSIMと全く同じだからだ。そのため、SIMカッターを使えば、誰でも通常のSIMを小型化してmicroSIMにすることが可能である。同じ方法で通常のSIMをnano-SIMにすることはできない。
G&Dによると、新しいnano-SIMのサイズは約12mm×9mmで、microSIMより約30%小さい。カードの厚みも約15%縮小された。既存のSIMカードが既に十分薄いことを考えると、この数字は驚異的だ。
現在でも広範に使われている通常のSIMカードと比較すると、nano-SIMは全体的に60%の小型化を実現している。つまり、nano-SIMを採用することで、デバイスメーカーは追加メモリや大型のバッテリなど、ほかのコンポーネントを搭載するためのスペースを余分に確保できるようになる。あるいは、モバイルデバイスをさらに薄くすることも可能だ。
G&Dによると、nano-SIMはさまざまなモバイルネットワーク事業者との間でテストが行われており、2011年中に欧州電気通信標準化機構(ETSI)を通して標準化される見通しだという。Appleは5月、microSIMの小型版の計画をETSIに提案している。それを考えると、nano-SIMは正にAppleが待ち望んでいたものなのかもしれない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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