楽天は11月9日、2011年度第3四半期(7月~9月)の決算説明会を開催した。売上高は928億1300万円(前年同期比4.9%増)、営業利益は189億5900万円(同18.8%増)、経常利益は177億6300万円(同14.0%増)、純利益は227億7700万円(同244.78%増)となった。売上高、営業利益、経常利益、純利益ともに第3四半期としては過去最高を達成した。
インターネットサービスセグメントでは、楽天市場、楽天トラベルともに前年同期比で堅調に推移。営業利益が前年同期比31.6%増となる134億円を記録した。楽天市場においては、新規出店店舗も継続的に増加。翌日配送サービスの「あす楽」も利用を増やしているという。また、スマートフォン経由での取引も増えている。スマートフォンの内訳については、「iPhoneよりAndroidが成長している」(楽天代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏)という。
インターネット金融セグメントについては、楽天カードによるカード事業の売上高が順調に推移。ショッピング取扱高やショッピングリボ残高もそれぞれ前年同期比で40%以上の増加となっている。楽天証券については、6万3015件の新規口座を開設。競合のSBI証券を追い越したと説明した。
また決算説明会では、同日発表されたKoboの買収についても説明がなされた。
既報の通りKoboは2009年にカナダで設立された。2011年3月期の売上高は、前年同期比3.2倍となる4億1100万カナダドルとなる見込み。Androidベースで7インチカラー液晶を備える「Kobo Vox」、6インチ電子インクモデルの「Kobo Wi-Fi」、そのタッチスクリーン対応版の「Kobo Touch」の3種の端末をラインアップするほか、WindowsやiOS、Androidなどに向けてリーダーアプリを提供。端末、アプリを合わせて世界で600万のユーザー数を誇るという。
今後は楽天、Koboそれぞれがグローバル展開しているエリアにて、既存サービスのシナジーを高めつつ、事業を展開していくという。日本でも電子書籍のストアを用意した上で、2012年のなるべく早い時期に端末を販売。サービスを開始する見込みだ。日本での端末価格については「とても安い。ベストな製品をベストなプライスで提供する」(ビデオ会議で出席したKobo CEOのMichael Serbinis氏)と言及するにとどまった。
日本での端末販売はECに加えて、書店、家電量販店など全方位で行う予定。Koboはカナダやイギリス、フランスなどで大手書店チェーンや小売各社と提携してリーダーを店頭で販売するなどしているが、このモデルにならう形になるという。ただし、「海外だと圧倒的ナンバーワンプレーヤーが居て、ほぼカバレッジがあるが、日本は海外に比べると大きくない。いち書店とだけ契約するモデルは苦しいと考えている」(三木谷氏)
また楽天ではすでに電子書籍サービス「Raboo」を展開しているが、将来的には同サービスをKoboに統合していく予定だという。
なお、国内でも米Amazonが電子書籍サービスを展開する見込みとの報道もあるが、三木谷氏は説明会後の囲み取材において、「勝算がなければやらない。日本の会社なので出版業界の信頼も厚く、ユーザーベースもECにおいては圧倒的に我々がある。これからのマーケットなので、ガチンコ対決でなく、マーケットを広げることがユーザーにとっても出版社にとっても著者にとってもいい話になる。業界として育てていきたい」とコメントしている。
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