ドワンゴは11月8日、電子書籍上にコメントを投稿できるサービス「ニコニコ静画(電子書籍)」の提供を開始し、電子書籍事業への参入を発表した。同日開催された記者発表会に出席した、角川グループホールディングス(角川GHD)取締役会長の角川歴彦氏とドワンゴ代表取締役会長の川上量生氏が、米Amazonの国内市場参入についてコメントしている。
10月20日に、米Amazonが2011年内に日本で電子書籍事業を展開すると各社が報じた。現在、日本の出版社らと価格などについての交渉を詰めているとされており、一部メディアでは、売り上げの55%をアマゾンのものとするといった内容の契約書もあると報道している。
この件について角川氏は、現時点で出版社が電子書籍の価格決定権を持つという法律はないと話し、「出版社が電子書籍の価格決定権をほしいと言って、それが認められればいい。それまでの間はアマゾンが価格決定権を持ちたいと言ってもいいのではないか」とコメント。価格については、各社で協議していくべきと語る。
また角川GHDはアマゾンと「1年間交渉している」と話し、残すところ11の条件まで交渉が進んでいることを明かした。さらに「この11条件はやっぱり厳しい、出版社としてこれは飲み込めないなというものも入っている」とした一方で、交渉を続けていく上で解決の糸口も見えてきたと語る。
続けて川上氏は、日本の携帯電話市場を例に出し、プラットフォームとコンテンツホルダーの関係について言及。着メロが流行した際、NTTドコモの提供するiモードのマージンは約10%前後だったが、海外は50%以上が主流だったと説明し、「力関係から言うと(海外は)正しい収入配分だった」と語る。
しかし、結果的に携帯コンテンツ文化が花開いたのは日本だけだったと話し、「プラットフォームとコンテンツホルダーの力関係では、コンテンツホルダーが強くならないとかえってマーケットが縮小する」との見方を示した。
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