ソニーは11月2日、2012年3月期第2四半期(7~9月)の連結業績を発表した。為替による影響や液晶テレビの減収を受け、売上高は前年同期比9.1%減の1兆5750億円、営業利益は16億円の損失(前年同期は687億円の黒字)、税引前利益は同99.8%減の1億円、当期純利益は270億円の損失となった。
低迷の続く液晶テレビ事業については、代表執行役副社長の平井一夫氏が収益改善プランを発表。2012年度に販売台数4000万台と掲げた中期計画を、2000万台に引き下げる計画を明らかにした。
平井氏は「中期計画を発表した2009年時点では、液晶テレビは高成長を前提にしていた。しかし業界全体で成長に鈍化が見られ、欧米の景気悪化から先進国はマイナス成長になっている。パネルの調達についても2009年度は供給不足を前提としていたが、現在は供給過剰。販売台数4000万台の前提条件が大きく変化した」と2000万台体制に転換する要因を話した。
テレビ事業の収益改善プランは、2011年度に1750億円を見込む営業損失を2012年度に半減し、2013年度に黒字化を目指すというもの。大きな割合を占める液晶パネルの調達コストを見直すほか、限界利益率の改善、販管費、間接コストの削減、研究開発費の効率化を図るとしている。
「新興国はソニーブランドが高く評価され、収益性が高い地域。モデルの強化、需要拡大で収益性のさらなる向上を見込む。先進国についてはよりビジネスにつながっている商品に振る」と地域別に戦略を変えていくとのこと。また「業界最高画質を実現するための超解像高画質エンジンなど独自技術を進化させ、次世代パネルに変わる転換期に業界をリードできるよう、次世代テレビの開発を加速する」と次世代テレビの開発についても話した。
ソニーでは収益改善プランに対する追加費用を500億円と見込む。これに対し平井氏は「実行すべきものはすべて手を尽くす。2000万台体制に不要な部材は廃棄するなど今期は大幅な赤字を見込むがこれは黒字化実現のために必要な処置。今回の構造改革については聖域を設けず取り組む」とした。
サムスンとの合弁会社S-LCDについては「液晶パネルのビジネスが厳しくなる中で、どういう施策を打っていくかについて協議する必要があると認識している。(合併解消など)憶測はあるが、それについてのコメントは控える」と明言を避けた。
ソニーでは11月1日付でテレビ事業をTV第1事業部、TV第2事業部、TV第3ビジネス部門の3つに分割する再編を発表。3つに分割することで各事業内容を明確にするとしている。
10月27日に100%子会社化すると発表されたソニーエリクソンに関しては「重点施策の一つとしてスマートフォンの北米でのプレゼンスシェアを高めていくことがある。子会社化することでこの施策が打ちやすくなると思う。ソニーエリクソンのスマートフォンが、金額シェアで世界的なリーダーになるためサポートしていきたい」と今後について話した。
今回の業績を受け、ソニーでは通期業績見通しを、売上高6兆5000億円、営業利益200億円、税引き前利益は100億円、純利益を900億円の損失と下方修正した。
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