グリー、サイバー、ミクシィの海外戦略の差異--ad:tech Tokyo 2011

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 国内外のマーケティング担当者やメディア関係者、コンテンツ制作者、ウェブ技術者などが集い、最新の情報や意見を交換するイベント「ad:tech Tokyo 2011」。10月27日は、「日本企業がグローバリゼーションに勝ち抜くためには?」と題して、日本を代表するネット系サービスの起業家3人を招いたパネルディスカッションが行われた。

 ディスカッションには、サイバーエージェント代表取締役社長CEOの藤田晋氏、グリー代表取締役社長の田中良和氏、ミクシィ代表取締役社長の笠原健治氏がパネリストとして参加。モデレーター役を、日本コカ・コーラ・マーケティング&ニュービジネス、インターラクティブ・マーケティング バイスプレジデントの江端浩人氏が務め、各社の海外展開の現状と実績や今後の戦略について訊ねた。

 3社の中で、昨今もっとも際立った海外進出を進めるグリー。2011年4月に、全世界で7500万ユーザーが利用する米OpenFeint社を買収し、現在、サンフランシスコをはじめ、北京、シンガポール、ロンドンなど世界各地に海外拠点を拡大している。グリーの海外戦略について、「モバイルを中心とした垂直統合は世界でも通じるユニークなモデルだと考えている。そういう意味では、我々のように、SNS、プラットフォーム、ゲーム、モバイルを垂直統合でやっている企業は海外にもない」と田中氏。「買収によりユーザー規模が1億1000万人に拡大したが、グローバルなオペレーション体制で展開していくことにより、それぞれの国で異なるゲームのアクティビティが見えてきた。結果、全世界で流行るコンテンツというのはないというのが既に見えているので、各地域のデータを見ながらカスタマイズをしていくのがグローバル化だと思う」と自社のグローバル展開のあり方を語った。

 一方、2007年に中国でサービス展開を開始したミクシィ。現在、海外拠点は、中国・上海を開発拠点、投資・アライアンス拠点をシリコンバレーに置いている。これまでの海外展開を振り返り、「mixiの強さというのは、ソーシャルグラフにある。匿名にしすぎず、完全にオープンでもないという心地よさ。しかし、中国人に受けるサービスは中国人が知っているはずだと、初期の段階から現地で積極的に人材を採用した。その結果、mixiのよさというのが失われて、結局は埋没してしまった」と笠原氏。

 また、サンフランシスコに支社を置き、アメーバピグの海外版やSmartphone Games、Media/Ad networkなどを展開し、10億円規模の売上を誇るというサイバーエージェント。藤田氏は「今後はこの水準を引き上げることをミッションに、基本的には日本と同じやり方を海外でも踏襲していくかたちで進めていく。大規模な企業買収などは行わず、我々の文化や価値観で、ジャパニーズムーブメントを海外に出していきたい」と海外戦略を語った。

 パネルディスカッションには、イベントを主催するdmg::eventのデジタルマーケティング部門プレジデントのスーザン・マクダーミッド氏も参加。3人のパネリストに対して「日本のインターネットサービスは世界で通用するのか?」と質問を投げかけた。

 これに対し、「10億人に対して成功するサービスというのは、各国でカスタマイズしなくていいものだと思う。ゲーム会社においては、コンソール市場では主要なメーカーがグローバルなマーケットに対して既に製品を出しているので、逆に言えば、ゲーム会社がグローバル化することは簡単にできるということ。日本のやり方が世界に通用するのかではなく、自分たちのやり方が通用するかということではないか」と田中氏。

 また、「ローカライズやカスタマイズの必要がないものであることが重要」(藤田氏)、「日本だろうと海外だろうと受けるものは同じ。まずは日本に向けたサービスを強化していきたい」(笠原氏)と、世界共通で受け入れられるユニバーサルなサービスや価値観の創出が必要という共通した見解が示された。

 また、海外展開の道筋について、「基本的には自前で、現地に似たような価値観とか似たような方向性があればパートナーを組んでやっていきたい」と笠原氏。田中氏は「類似する製品に対して圧倒的な競争力を持つ製品力があればローカル化する必要はない。逆に、競争力が落ちてくれば、カスタマイズが要求される時代がやってくる。ゆえに、市場環境によってカスタマイズが必要かどうかを考えることが重要」と述べ、藤田氏も「インターネットの世界では、グローバルコミュニケーションの壁が大きいが、GoogleやAmazonといった会社がそれでも壁を越えていけるのは圧倒的な技術力を持っているから。新しいサービスを生み出しても、それが普及する前に他で真似されてしまうことがあったが、圧倒的な技術力を持つサービスであれば真似されない。だから技術力の強化に力を入れる」と語り、企業やサービスの独自性こそがグローバリゼーションを勝ち抜くカギと捉えていることが各パネリストから打ち出された。

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