10月12日に米調査会社のIDCが発表した調査(速報値)で、2011年7月~9月のPC出荷実績において世界シェアでレノボグループがデルを抜いて2位になった。また、Gartnerが発表した調査(暫定値)においても同様で、初めてシェア2位を獲得した。
レノボ・ジャパンは2011年にNECとパートナーシップを結び、日本国内でのPC事業を統合したNEC レノボ・ジャパン グループを7月1日に発足させている。世界シェアの躍進や今後の展望について、レノボ・ジャパンの代表取締役社長であるロードリック・ラピン氏に聞いた。
主な理由は2つあると考えています。1つ目はオーガニックな成長です。我々は北米、西ヨーロッパ、中国、日本、南アジアのすべての地域で成長を果たしていますが、それは我々がカスタマーの声を聞いているからだと思います。我々のビジネスの基本は、カスタマー、ビジネスパートナーの声を聞いていくこと。我々の会社ではどの地域においても、常にカスタマーにいちばん近いところに権限を与えています。
グローバルな企業でありがちなのは、1枚の青写真をつくってそれを世界のどの地域においてもあてはめようとするというのがありますが、我々の場合はグローバルに考えてローカルに行動する。こうすることによって、地域、国ごとにそれぞれの消費者にあったかたちでの展開ができます。その点が他と比べて勝っている点だと思います。
そして2つ目は、パートナーシップです。これを抜きにして世界シェア第2位を語ることはできません。たとえば日本でのNECとのパートナーシップ、ドイツでのメディオングループとのパートナシップ。この2つのマーケットにおいての成長は、これらのパートナーシップが非常に大きな貢献をしたことは間違いありません。
NEC レノボ・ジャパングループ発足--「変わらず日本市場にコミットメント」
NECとレノボ、将来的にPC事業以外での連携も--合弁会社設立会見より
我々が当初NECとのパートナーシップに期待していたことと、現在考えていることはそんなに変わっていないと思います。まずは、NECが持っている日本のマーケットについての知識。NECというのはPCの夜明けが始まった時代から常にナンバーワンのポジションであり続けた、日本のマーケットに熟知した企業です。やはり、NECが持っている知識や日本についてのスキルを活用していくことが、我々にとって非常に重要な価値になります。
もう1点は、日本はPC市場としては世界で3番目の非常に大きなマーケットです。今、グローバルな企業は躍起になって中国に対して投資を進めていますが、レノボは既に中国ではナンバーワンのポジションにあります。ゆえに他の企業とは違い、世界3番目の日本の市場に対して投資を振り向けることができるのです。これは他社との非常に大きな違いであり、チャンスだと考えています。その市場を熟知しているのがNECという会社です。また、NECとレノボは自社でR&D(研究開発)を行うという点で共通点があります。このことは我々にとって非常にシナジー効果をもたらすものであり、将来に向けて大きな機会につながっていくものであると期待しています。
IBMの買収で我々が学んだ大きなことは、買収を通じてのプロセスや実行以外にも、組織においての人や文化の重要性です。こうしたことは、我々がありたい姿、なりたい姿を考える上で非常に学ぶことが多かったと思います。一方、今回のNECとのパートナーシップは非常に性質の違うものです。部門そのものの買収だったIBMに対して、今回はジョイントベンチャーでの提携です。これはNEC本体とのパートナーシップという意味でも非常に重要な意味があると考えています。というのも、NECはPC以外にもイノベーティブな製品を手掛けていますし、NEC本社とのパートナーシップにおいても非常に意義があることだと感じています。
レノボは、インターネットデバイスを提供してきている企業です。そしてPCはまだ死んでいないと私自身は思っています。市場にいろいろな新しい製品が出てくるというのは大変素晴らしいことですが、我々にとってのチャレンジは、これまでとは違った見方でマーケットを考えていき、そこに投資、開発をしていくということにあります。タブレット端末など新しいかたちのデバイスが登場していますが、まだPCの代替になるというのは出てきていないと思います。我々にとってのR&Dの基本は、やはりユーザーやマーケットが何を求めているのかということ。NECと一緒に、次の波はどういうものがくるのかを、この先も検討していきたいと考えています。
モバイルのインターネットデバイス市場において、今、いちばん早い成長をしているのがスマートフォンです。我々は従来のPCに加え、タブレット、中国においてはスマートフォンの製品も手がける唯一のメーカーです。日本での発売については、日本のユーザーがどういったものを求めているかといったことを考えながら検討していくつもりです。
今後、スマートフォンを発売するとすれば、それはマーケットにインパクトを与えたいからではなく、ユーザーにとって価値を創出するためであり、そういう意味において日本で発売する可能性はありますが、現段階ではYesともNoとも言うことはできません。スマートフォンを日本で出す出さないということについても、カスタマーの声に基づいて意思決定をしていくという我々の基本姿勢に変わりはありません。
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