ネット家電ベンチャーのCerevoが10月18日、約1年ぶりとなる新たなプロダクト「Live Shell」を発表した。PCレスでのUstream配信を可能にするLive Shellだが、今回新たに設けられたUstream認定配信関連機器の第1号となっている。
しかし今回、ハードウェア以上に注目したいのが、Live Shellをコントロールするウェブサービス「Dashboard」の進化だ。ここに彼らが考えるネット家電の未来、コンセプトが詰まっているという。Cerevo代表取締役の岩佐琢磨氏に話を聞いた。
LIVEBOXから約1年ほど、ハードウェアに関しては「突発的」ではなく、いたって正常な進化を遂げました。特に製品の完成度については、「モノ自体はいいけど作りが…」というユーザーの声があったのも事実だったので、特に筐体のラインや表面の質感など、細部にこだわりました。
たとえば、以前は別売だったホットシューアクセサリーマウントを今回から標準添付にしています。実はこれ、ユーザーから「家電量販店でなんといって買えばいいかわからなかった」と言われたことがあったんです。自分たちは分かっていても、ユーザーの視点になればどうなるのか? こういうところも細かく考えて付属品も用意しました。
実はそこが今回のポイントでもあるんです。「ハードは徹底的にシンプルに。操作はスマートフォンやタブレットで」というコンセプトを明確にしました。これが我々の考える新しいネット家電のスタイルになる、と思っています。また、コントロールインターフェースは外(ウェブ)に出して、そしてそれをローカルアプリではなく、HTML5ベースのウェブアプリで作るのです。こうすれば、ブラウザさえあれば(端末を問わずに)操作できます。
Live Shellは液晶も小さいです。ボタンは付いているので、やろうと思えばハード上で設定ができますが、やはり複雑な操作は難しい。配信設定についても、たとえば有線のLANケーブルなどを差し込むと液晶に端末ごとの「キー」が発行されるんですが、このキーをウェブ側から入力するだけで設定が完了します。つまり「ハードは人が触らなくていい」という設計です。Ustreamの配信や停止すらリモートで操作できます。
サービスとなるUstream、配信するLive Shell、そしてコントロールを担うCerevoのサーバ(Dashboard)。こうやって分離してそれぞれの役割を明確にすることで、例えば配信を止めてもコントロールはできる。これは配信するUstream側と操作するCerevo側のサーバを分けたから実現できたんです。難しい設定や自動ファームウェアアップデートなど、これまで作ってきたことをすべてこのインターフェースに集約しています。
家電ではできることが多くなればなるほどリモコンのボタンは増えていきました。この考え方ではできなかったことをネット家電でやりたいと考えています。今回Live Shellで追加した機能に、配信中の画面にキャプション(説明文)やロゴを挿入できるというものがあります。こういったものは、ハード側ですべてを処理しなくてもウェブサービスとして作り込むことで進化もできるし、何かあればサービスを停止することもできます。
本当のネット家電がどういったものか、自分たちがこれまでの製品で見ていた世界はどのあたりで、どういうアプローチで攻めるべきか、1つの答えが見えた気がしています。シンプルなハードとその裏にあるウェブサービス。これらが一体となってサービスとなる。これがネット家電の定義になると考えています。
Cerevoという会社とこのLive Shellというプロダクトは分けて考える必要はありますが、いろいろと想像は膨らみますね。LiveShellなら、拡張コネクタで温度計につなげば外気温がわかる中継ができるようになります。動画内に温度計を表示するというわけです。これをスキー場にもっていって、さらにそのバージョンに合わせたウェブコントローラーをセットにすれば新しい世界観、ビジネスを作ることができるかもしれません。今いろいろと仕掛けを考えているところです。期待していてください。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」