イー・アクセスは9月16日、総務省が9月6日に公開した700/900MHz帯に関する参入希望調査の結果に対する同社としての意見を述べた。調査は同周波数帯を希望する、イー・アクセス、NTTドコモ、KDDIおよび沖縄セルラー、ソフトバンクモバイルの4社に対して8月に実施された。
まず、イー・アクセス代表取締役会長の千本倖生氏が挨拶。総務省がこれまで実施してきた周波数割り当ての歴史を振り返った。総務省は新規参入やテクノロジの促進を目的に2005年、2007年、2009年と大きく3度にわたり周波数の割り当て政策を実施。これにより、イー・アクセス(当時はイー・モバイル)、UQコミュニケーションズ、ウィルコムなどが携帯電話事業に参入した。
千本氏は、過去の周波数割り当てについて「新規参入の促進とモバイルブロードバンドの市場創出に関しては一定の成果があった」と評価する一方で、「全国における“高速サービスの普及”と“競争促進”の観点からみると、また十分な成果が上げられていない」と指摘。今後の政策においてこの2点が重要になっていくと語る。
また総務省は、2015年までに300MHz幅の周波数の割り当てを目標に掲げている。内訳は、700/900MHz帯で最大100MHz幅、3.4~3.6GHz帯で200MHz幅となっていることから、今回の周波数割り当てが「プラチナバンドがまとまった形で割り当てられる最後のチャンス」と話す。
「今回を逃がすとプラチナバンドは一切持てないということになる。プラチナバンドをいただいているかどうかということは、今後の携帯高速化にとって非常に大きな問題になる」(千本氏)。新興企業がインパクトを与えて市場を活性化しなければ、日本経済は停滞から抜けられないと強調し、大手通信事業者に偏らない公正な審査を総務省に求めた。
続いて、イー・アクセス代表取締役社長のエリック・ガン氏が、900MHz帯への対応方針を説明した。
エリック氏は、周波数における質(帯域)と量(帯域幅)が競争力の源泉になると語る。質は、エリア展開に不可欠なプラチナバンドや国際標準端末の調達に有利なIMTコアバンド。量は、LTEや増大するトラフィックに対応できるだけの帯域幅だ。エリック氏は、競合他社に比べてイー・アクセスは「質・量ともに不利な状況になっている」とコメント、大手通信事業者と同等の周波数環境が必要だと主張する。
仮に900MHz帯が割り当てられた場合には、2012年からLTEサービスを開始し、5年後を目途に人口カバー率99%以上を目指す。また、MVNOへのネットワークのオープン化やSIMフリー端末の提供も行っていくとした。「SIMフリーとSIMロック解除は違う。解除するのにお金がかかるし手間もかかる」(エリック氏)
900MHz帯の使用方法や審査項目についても説明した。大手通信事業者は主にトラフィック対策のために同周波数帯を希望しているのに対して、イー・アクセスは全国の高速化や競争促進を目的としていることから提案内容が対照的だと指摘。総務省には、開設指針および審査項目として、「LTEの人口カバー率」「LTEの料金水準」「MVNOユーザー比率」「SIMフリー端末比率」「周波数イコールフッティング」を盛り込んでほしいと訴えた。
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