Microsoftによる買収が発表されているSkypeは、まだ正式にはMicrosoft傘下ではない。しかし、司法省の調査プロセスをいらいらしながらじっと待っているわけではない。
実際、SkypeはMicrosoftとMicrosoft以外のプラットフォーム向けに、既存サービスのアップデートを続けている。先にも「Skype for iPad」を発表したばかりだ。同社はまた、Microsoftの方向性と衝突する可能性があるように見える方針や戦略的な意思決定も続けている。
適例を紹介しよう。GigaOmが米国時間8月3日付けで報じているように、Skypeは1対1およびグループでのビデオ通話において、Googleのオープンソースのビデオコーディック「V8」をデフォルトで採用する。先に完成した「Skype for Windows 5.5」では、通話相手も5.5を利用していればVP8ベースでビデオ通話ができる。GigaOmによると、Skypeは2010年よりグループ通話でVP8を採用しているが、1対1では初めてという。
VP8は、動画規格「WebM」の一部だ。8月3日付けのWebM Projectブログで、WebM ProjectプロダクトマネージャのJohn Luther氏は、「SkypeはVP8を早くから支持していた1社で、VP8ビデオ通話が実現するすばらしい品質と性能を多くのユーザーが体験できるようになることをうれしく思う」と記している。
Microsoftウォッチャーなら記憶にとどめている人もいるだろうが、Microsoftの「Internet Explorer(IE)」チームは以前から、VP8とWebMに楽観的な姿勢を示してこなかった。Microsoftの公式な立場について、IEチームの代表者が8月4日、電子メールで以下のように再度説明してくれた。
Microsoftは、「IEユーザーにWindows上で最高のウェブ体験を提供することにコミットしている。われわれはすべてのビデオコーデックをサポートする--IE9では、そのままでH.264動画の再生が可能で、ユーザーはサードパーティーのサポートをインストールすることで、VP8とWebMも利用できる」。
Microsoftの関係者は以前、VP8はH.264よりもセキュリティ上のリスクが高いと示唆していたほか、Googleが自社製品でのH.264対応を中止することに対しても、ほかの多くの企業同様に公に批判している。
SkypeはPtoPベースのサービスだ。Skypeが晴れてMicrosoftのものとなった後、MicrosoftがSkypeの土台のインフラを変更するのか、するとすればどのように変更するのか、興味深いところだ。また、Skypeを「Windows Phone」「Xbox Live」「Live Messenger」「Hotmail」「Lync」などのMicrosoft製品やサービスに統合するのかについても、気になるところだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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