MicrosoftがSkypeを85億ドルで買収することは理にかなっている。その理由を説明しよう。インターネット分野では依然として遅れをとっているMicrosoftは、熱心なユーザー層を持つウェブ上で最も人気のあるブランドの1つを手に入れた。広く使用されているSkypeのテクノロジを自社のコミュニケーション製品に取り入れ、強化することができる。
少なくともそれは言えるだろう。Microsoftによると、Skypeは1億7000万人以上のインターネット接続ユーザーに利用されているという。Skypeは規制当局への報告書で、同社のユーザーが2010年に行った音声通話とビデオ通話の合計時間は2070億分だったと主張している。Microsoftはその熱心なユーザー層がいる強みを活かして、Skypeのテクノロジをさまざまな製品に取り入れたいと考えており、Skypeのユーザーを他のMicrosoft製品に呼び込めるものと期待している。
「Skypeというブランド名は動詞として使われている」。Microsoftの最高経営責任者(CEO)Steve Ballmer氏が、サンフランシスコの記者発表イベントでこのように述べたのは米国時間5月10日午前で、買収計画の発表から数時間後のことだった(折しもわずか数ブロック先ではGoogleのデベロッパー向けカンファレンスGoogle I/Oの基調講演が始まろうとしていた)。
85億ドルという金額が妥当かどうかについては、疑問の声が多くあがっている。しかし、直近の四半期決算で500億ドルの現金を保有していると報告したMicrosoftにとって、その疑問は本当の意味で適切なものとはいえない。Microsoftは長年にわたって、さまざまな事業に莫大な資金を投入し、新規市場の開拓を図ってきた。ビデオゲーム「Xbox」事業など、投資が回収されつつあるものもあれば、オンラインサービス部門など、利益を出すにはまだほど遠いものもある。
Microsoftに対する疑問は、Skype買収によって、重要なコンシューマー向け市場において競合企業、特にGoogleとAppleを凌ぐことができるのかどうか、というものだ。Skypeにはその可能性がある。
Ballmer氏は従業員に宛てた電子メールで次のように述べた。「本日の発表は、Microsoftがどのような会社なのかを改めて世に示すものだ。Microsoftは野心的で前向きな会社だ。大きな目標、大きな志を抱いている。世界を見回して、テクノロジでより多くのことができるチャンスを見つけたら、そこに向かって突き進んでいく」
Skypeが新規株式公開を前に(もう公開はないだろうが)米証券取引委員会(SEC)に提出した報告書には、同社の2010年の純売上高は8億5000万ドルで、700万ドルの損失となったと記されている。同年における金利税引前利益(成長企業が利益の把握に使用する指標)は2億4600万ドルだったという。Microsoftは直近の四半期だけでも57億ドルの営業利益を計上している。
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