ネット上で映画前売券の購入から座席指定までできる電子前売券サービス「ムビチケ」が、8月下旬にサービスを開始する。PCやスマートフォンから映画の前売券を購入し、提携する映画会社のウェブサイトから座席を指定、あとは鑑賞当日に劇場の自動券売機から座席券を出力するだけで映画を鑑賞できるサービスだ。決済方法はクレジットカードを採用しており、コンビニ決済も検討している。
ムビチケでは、マイページから予約した作品や鑑賞した作品の履歴を閲覧できるほか、前売券の購入特典として、作品のオリジナル壁紙や電子コミック、サウンドトラックなどをダウンロードできる。サービス開始後になるが、購入した前売券を友人にメールでプレゼントできる「ギフト機能」も実装する予定だ。
サービス開始にともない、運営会社となる株式会社ムビチケが7月7日に設立された。新会社には、角川メディアハウス、メイジャー、デジタルプラスの3社が出資している。
7月26日の記者発表会に臨んだムビチケ代表取締役社長の髙木文郎氏は、ムビチケによって「公開前であればいつでもどこでも前売券を買えるようになる」と語り、今後はソーシャルメディアや劇場サイトからもすぐに前売券を購入できる仕組みも考えていきたいとした。また、初年度の目標としてチケットを200万枚販売、売上35億円を掲げた。
膨大なトラフィック処理が課題
ムビチケを利用できる映画興行会社は、7月26日時点で、角川シネプレックス、佐々木興業、松竹マルチプレックスシアターズ、東急レクリエーション、TOHOシネマズ、ユナイテッド・シネマの6社になる予定。髙木氏によれば、これほど大規模かつ座席予約まで可能なチケットシステムは「世界にも類をみない」という。
しかし、ここで障壁となるのが、各映画興行会社とのシステム連携や多数の作品を抱えることによる膨大なトラフィックデータだ。例えば、人気作品の前売券を購入したユーザーに先着順で特典をプレゼントするキャンペーンなどを実施した場合、アクセスの集中が予想されるため、これらのトラフィックを処理できるだけのシステムを開発する必要がある。
この課題を解決するために、ムビチケがシステム構築に採用したのが日本マイクロソフトのクラウドサービス「Microsoft Windows Azure Platform」(Windows Azure)だ。髙木氏は、Windows Azureは予測不能なトラフィックに柔軟に対応できる拡張性を備えていると説明し、「ムビチケのシステムには不可欠なテクノロジーと言っても過言ではない」と語る。
また、同日の会見に出席した日本マイクロソフト代表取締役社長の樋口泰行氏は、マイクロソフトのクラウドサービスやテクノロジーとムビチケの強みを融合することで、国内の映画産業やコンテンツ産業の活性化につなげていきたいたとした。日本マイクロソフトでは、今後もポータルサイト「MSN」や、日本で発売予定のWindows Phoneを搭載したスマートフォンから、ムビチケに簡単にアクセスできる仕組みを構築していく。
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