Skypeにとって要注意のニュースが飛び込んできた。音声およびビデオチャットのソフトウェアをオープンソースプロジェクト「WebRTC」として公開したばかりのGoogleが、この技術をブラウザの「Chrome」に組み込もうとしている。
Googleは2010年にインターネット電話やビデオカンファレンスを専門に取り扱うGlobal IP Solutions(GIPS)を買収し、リアルタイムチャットソフトウェアを入手した。
WebRTCプロジェクトで特に大きな恩恵を受けるのは「Gmail」だ。現在のGmailでは、音声およびビデオコミュニケーション機能を利用する際、プロプライエタリのプラグインが必要なためだ。Gmailのチャット機能は、GoogleのVoIP(Voice Over IP)への取り組みが成熟し、「Google Voice」と統合するにあたってより重要性を増すことになる。
しかしGoogleは、Gmail以外でもWebRTCが活用されてほしいと考えており、WebRTCがビデオカンファレンスやPtoPコミュニケーション、さらにはその根底にあるネットワークコミュニケーションプロトコルといった初期のウェブ標準が広く実装されることを目指している。WebRTCの紹介ブログページにてGoogleは、WebRTCをオープンソースかつロイヤルティフリーのソフトウェアとしてリリースしたこと、またリアルタイムチャットのプロジェクトにおいてMozillaやOperaといったほかのブラウザメーカーと協力していくと説明している。
もしGoogleとGoogle支持者がこの技術を確立させ、複数のブラウザが同技術をサポートするようになれば、ウェブサイト構築やウェブアプリケーション構築を手がける開発者は誰でもコミュニケーション技術を取り入れられることになる。つまり、ウェブアプリを使って誰でもSkypeのようなサービスを構築できるということだ。
Googleは、ウェブベースアプリケーションという概念やウェブアプリで可能になるクラウドコンピューティングの提唱者の中でも中心的な存在だ。ウェブアプリは、「Windows」や「Mac OS X」、また多種多様のスマートフォンなどの枠を超え、異なるコンピュータシステムにも簡単に拡散できる。だからこそGoogleは、ネイティブアプリでできることをウェブアプリでも可能にしようと努力しているのだ。最終的にGoogleは、より多くの人をオンライン上に誘導することで収益を上げようとしている。オンライン上でユーザーは、Google検索を行ったり「Google Apps」のようなサービスに料金を支払う可能性があるためだ。
WebRTCソフトがChromeに組み込まれる日は近い。GoogleのプログラマーでGIPS出身のHenrik Andreasson氏は、6月17日のメーリングリストにて、「われわれの目標は、シンプルなJavaScriptのAPIを使って、Chromeでリアルタイムコミュニケーション(RTC)機能を実現することだ」と述べた。「われわれは、Chromeのベースであるオープンソースブラウザエンジンの『WebKit』からネイティブの音声およびビデオ機能に至るまで、ChromeでRTCをフルサポートするため努力を重ねている」(Andreasson氏)
WebRTCでは、GIPSの技術である2つの音声コーデックを採用している。1つは広帯域接続用の「iSAC」で、もうひとつは狭帯域接続用の「iLBC」だ。コーデックとは、音声データやビデオデータのエンコード(符号化)やデコード(復号)の際に使われるソフトウェアのことだ。
ビデオに関しては、Googleの「VP8」コーデックがWebRTCで使われている。VP8もオープンソースかつロイヤルティフリーの技術で、Googleは同技術を持つOn2 Technologiesを買収したのち、ウェブにおける新技術への障壁を下げるためにVP8をオープンソース化した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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