Appleが先週、「OS X Lion」の価格を29.99ドルに設定したことは、同社の新たな標準を示している。同社OSの一般的な価格より100ドル安くなった。Appleは2009年に「Snow Leopard」でも同じことをしたが、Snow Leopardは全面刷新のリリースというよりも、メンテナンス的なアップデートとして宣伝されていた。
Lionに関しては別の要素もある。一度代金を支払うだけで、ユーザーの正規「Mac」コンピュータ5台すべてにOS Xをインストールすることが初めて可能になった。事実上、Appleのマルチユーザーライセンス「ファミリーパック」を置き換えるものとなる。
ここで出てくる疑問は、AppleがLion以降のリリースでさらに価格を下げるのか、ということだ。未来を予想する上で、その可能性を示す兆候がいくつかある。
こうしたことを考えていくに当たって、デスクトップコンピューティングに対するAppleの最近の考え方を知っておくことには意義がある。同社が米国時間6月6日のイベントでしきりに主張していたのは、「ポストPC」時代が到来したということだ。Appleは、これまでコンピュータを使ってやってきたタスクを、「iPhone」や「iPad」のようなデバイスを使って処理することが増えていると主張した。
その裏付けとして、Appleは「iOS」ソフトウェアに大幅な変更を加え、iOSデバイスを母艦であるMacおよびPCから切り離し、一方でそれらすべてのデータを連携させる同期ツールとして「iCloud」を構築した。それにより、iOSデバイスは事実上、コンテンツとソフトウェアの入れ物になった。最大の違いは、両プラットフォームで動作するソフトウェアの開発には、依然としてMacが必要だということだ。
Lionで最も重要な新要素は、そのソフトウェアコンポーネントだ。同OSは最初からAppleの「Mac App Store」で発売される。Mac App Storeは、ソフトウェアを販売するAppleのデジタルダウンロードストアで、Mac OSユーザーはウェブを探し回ったり、パッケージソフトウェアを使ったりすることなく、Appleからアプリケーションを直接購入できる。AppleはLionについても、同OSがプレインストールされた新型Macを購入するユーザーを除いて、Mac App Storeでリリースする予定だ。
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