--2300円という価格は、iPhoneアプリとしては高額の部類に入るかと思うのですが、今後の価格設定についてはどうお考えですか。
神宮司 勉強になったのは、個人的に高額と思っていなかったんですよ。あのデータをローカルにいれると思うと通常のナビからすればすごく安い。ところが今回、高額なのに無償にしてくれたという声が多くあって、高額だったのかと。考えてみれば、iPhoneのユーザーでもあるので結構アプリを買いますが、100円200円のものが多い。2300円が高いというのは痛感したことです。
一方で、われわれとしてはコンテンツを大事にしていきたいという思いもある。工夫して、なるべくユーザーが手にとりやすいやりかたを考えなければなりません。ユーザーの声で多いのは、データ量が多いというもの。Wi-Fiでダウンロードをしても時間がかかるからです。可能かどうかを考えるのはこれからですが、地域分割もありえる。かつ東北エリアは、データが変わってしまうので、地域貢献も含めて無償にする、または安く提供するということもできる。いろいろなことを考えていきたいと思っています。今後の議論ですね。
--今後のビジネスのポイントにもなるところですね。
神宮司 そうですね。宮沢君の宿題です。今回ユーザー数が増えたけれども、やっぱり実力で使い勝手を上げてビジネスしていかないとならない。その方法を彼らが考えていきます。逆に今のユーザー数は重荷になるかもしれない(笑)次どうするのかって(担当は)プレッシャーでしょう。
盛岡で地図データをつくっていますが、サービスも提供している会社は世の中多くはない。われわれは、一から全部やっている。ユーザーに対してベネフィットを出すのは考えられるねと。地図データを持っているのですから、いつ更新しようか決められるのはメリットだと思っています。
--今回の震災で、地図そのものも大きく変わってしまったのではないでしょうか。
神宮司 地図データの供給会社は日本全国、ゼンリンと弊社だけです。震災後直に政府機関と協力して、通れないマップと区域を提供しました。地図の作成は泥臭いもので、航空写真を撮る方法もありますが、道路を走らせて確認したり交差点を確認したりして、通れる通れないを確認する。そこは大きなプロジェクトです。そういう情報を早く上げれば救援活動をする人にも住んでいる人にもメリットですよね。修復したり家が建ったことをなどを反映させてあげたい。iPhoneアプリも作っていますが、地図会社でもあるので、そこも一生懸命やりたい。
--地図会社としての役割も大切ですね。
神宮司 ナビの地図というのは、自動車産業も含めて上半期は厳しい。震災をどう表現して、ルートを引かないようにするのかなど、工夫もしないとならない。地図をバージョンアップで更新することで、社会貢献もできると考えています。起きてしまったことをどうやって反映するかが課題です。
--MapFan for iPhoneの今後の展開について教えてください。現在はiPhone版のみですが、Android版はいかがでしょうか。
宮沢 Android版は今の段階ではまだですが、検討はしています。次でどうするかについて、具体的には、ユーザーさんから要望が多いのは、ローカルでのルート探索や渋滞情報の対応。それから、横画面に対応してほしいという声があるので、検討していきます。
神宮司 ナビメーカーとして他社には負けないと思っているんです。今回勉強になったのは、まず、シンプルなのも重要だということ。地図が見られて自分がどこにいるかわかり、そこから活動できる。ナビを知っている人からみれば、ここが足りないと思うこともあるでしょうし、iPhoneの性能の中でやっているので、カーナビみたいな複雑なことは言われても無理ということもあります。
宮沢 オフラインで使える特徴を生かしつつ、ユーザーの声をもとに、よりよいアプリケーションにしていきたいと思っています。
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