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NHK技研、一般公開--スマートテレビのあるべき姿とは

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 NHK放送技術研究所の研究成果を一般に公開する「技研公開2011」が5月26~29日、世田谷・砧の技研敷地内で開催される。今回のテーマは「あなたに伝えたい、デジタル放送の未来」。通常の研究開発展示のほか、東日本大震災でも活用された非常災害時に役立つ放送技術などもあわせて展示されている。

写真1 85インチスーパーハイビジョンディスプレイ
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 今回の目玉展示は、先ごろ発表されたばかりの「家庭で楽しむスーパーハイビジョン」(ブース番号5)。シャープと共同開発した85インチの直視型高精細ディスプレイを用いて、スーパーハイビジョンの超高精細映像(画素数7680×4320)を家庭内で楽しむイメージを提供する。

 また、スーパーハイビジョンの特徴でもある22.2chサラウンド音響を家庭でも再現すべく、ディスプレイ一体型のスピーカーシステムも開発(フォスター電機と共同)。ディスプレイ周囲に116個ものスピーカーを埋め込み、信号処理によって上下左右から包み込むような高臨場感音響を再生する。

 技研所長の久保田啓一氏が「格段の画質改善が見られた」と評したのは、20年後の技術として開発を進めている「インテグラル立体テレビ」(ブース番号11)。左右だけでなく上下の視差も再現するという「進化した裸眼立体テレビ」だが、実現がかなり先となるためか、昨年までの一般展示ではさほど芳しい評価は得られていなかった。

 今回はフル解像度スーパーハイビジョン用の映像素子に画素ずらし技術を適用、世界初の走査線8000本級(スーパーハイビジョンの2倍)映像を用いたことで、昨年までと比較して大幅に画質が改善。所定の位置(ブース内に椅子が用意されている)から画面を見れば、それなりの立体感を味わうこともできるようになっていた。

写真2 Hybridcastのサービス例
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 1階エントランスで大々的に展開しているのが、放送・通信連携サービスの将来像として提案する「Hybridcast」。各種SNSとの連携、IPTVサービスとの連携、スマートフォンやタブレット型端末との連携など、一見すると「すでにスマートテレビのアプリとしてメーカーから方向が示されているものでは」という内容が並ぶが、ポイントはそうした各種アプリの中身ではない。

 「提案の本旨は、放送局やメーカーが連携した共通プラットフォーム構築の提案」(放送技術研究所主任研究員の浜田浩行氏)。つまりは検索サイト運営事業者ではなく、放送局がイニシアチブをとってスマートテレビ向けプラットフォームを構築した場合には何ができるか、を示す展示と捉えると評価が変わってくる。

 番組視聴中、スマートフォンやタブレット型端末に番組関連検索ワードが自動で検出され、そこから一般の検索エンジンを用いて関連サイトに遷移できる、といったアプリはまさしく「放送局主導」の典型。こうした検索のお手伝いを含めた放送とネットの強固な連携を便利ととるか、多少の手間があっても独立した機能として干渉を受けずに使う方を選ぶか。スマートテレビ化の流れを占う意味でも注目すべき展示となっている。

 例年、長蛇の列ができるのがスーパーハイビジョンシアターだ。今回のコンテンツは米国の公共放送PBSと共同制作したという海外ロケありの意欲作だが、同シアターに求める圧倒的な迫力、という点ではやや肩透かしを食らう内容。今年は節電の影響もあって閉館が2時間早まる(16時まで)ので、タイミングよく空いていたら見てみる、というくらいの感覚でいいかもしれない。

写真3 3次元ミリ波イメージング技術
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 その他、技研職員からお勧め展示として紹介されたのが「3次元ミリ波イメージング技術」(ブース番号23)。ミリ波電波を利用して3次元の位置情報を取得するという技術で、煙や布、木材などの遮蔽物によって隠された被写体を反射波の到達時間によって解析、リアルタイムに可視化するという技術だ。

 あえてこれをお勧めとした理由は、技研が「どのように使えるのか、色々なアイディアを聞きたい」としているため。遮蔽空間を可視化するといっても放送レベルに使えるほどわかりやすい映像ではなく、放送番組での使用を想定した実用的システム開発の方向性を検討している段階という。

 今回の展示において、そうした意見を集めることも重要なテーマのひとつにしているようなので、クリエイティブな観点をお持ちの方、あるいはこれから放送番組制作に携わろうと考えている方など、ぜひ、同ブースを訪れて担当説明員にアイディアを披露してきてほしい。

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