米CNETは13日の読者投票で、ソニーの補償について意見を聞いた。5000件を超える回答のうち、57%が「AAAゲーム1タイトルと『PlayStation Plus』の無料提供」を選んだ。1812daveと名乗る読者は、それさえも十分ではないと考えており、「ソニーはPS3の当初の所有者全員に全額返金するとともに、主にオンラインでプレイするゲーム(ほとんどがそうだ)の代金を全額返金すべきだ」とコメントしている。
それは現実的な案とはいえないが、少なくとも、ソニーが対応を求められている顧客の期待値の幅を伺い知ることができる。
DaFeesという読者は、PSNに追加特典の付いたプレミアムバージョンにあたるPlayStation Plusサービスが無料提供されると聞いても、特に心を動かされないという。「全ユーザーにPlayStation Plusを1カ月無料で提供するというのは、人を馬鹿にした話だ。理由を説明させてほしい。PlayStation Plusでは、無料ゲームを所有したりクラウドストレージなどの追加サービスを利用したりすることができる。ここに大きな落とし穴がある。1カ月経てばそのような特典はすべて失われるということだ。それらの無料ゲームをプレイすることも、クラウドに保存したものにアクセスすることもできなくなる。基本的に、最初の1カ月間は、『例のPSN事件でソニーからどのような補償を受けたのか』と聞かれたら、PlayStation Plusの会員資格に付く特典を見せて答えることができるが、1カ月経ってからは何を見せればいいのか。そう、何もない」(DaFees)
大企業が、今回ソニーが経験したような規模で広報面での大失敗を経験した場合、顧客に対する法律上の義務を果たすだけにとどまらず、自社にとって顧客がいかに大切な存在であるかを示すことが(義務というわけではないが)妥当と考えられる。
Appleは、「iPhone 4」のアンテナ感度について悪評を受けたとき、当初は大きな問題として取り扱おうとしなかった。話題が大きくなり、iPhone 4発売後最初の週がその話題でもちきりになった段階で、同社は記者会見を開き、義務にとどまらない誠意を示すことになった。iPhone 4の購入者全員に、通常は小売価格15~35ドルのケースを無料で提供すると申し出た。Steve Jobs氏は当然そのことについて少々不満そうではあったものの、確かに人々を黙らせることはできた。そして人々は相変わらずiPhoneを購入している。
ソニーが14日、米国でのPSN再開を発表したとき、米CNETや他のサイトの読者コメントには安心と喜びの声が数多く寄せられた。これは理解できることだ。PSNユーザーは同製品に対して強い思い入れを抱いている。おそらく大半の人は、ソニーからどのような補償が得られるかという疑問に多くの時間を費やすことはせず、単にPSNでまたゲームをプレイしたいと思っていたのだろう。
しかし、米国ではさほど注目を集めなかったことがある。米国のPlayStationユーザーには実際のところ影響を及ぼすことではないため、注目を集めなかったことは理解できる。だが、ソニーの本拠地日本では、具体的に示されていない何らかの「対策」を同社がまだ講じていないという理由で、PlayStation Networkへのアクセスを再開することさえ許されていないと聞けば、米国の人々も多少立ち止まって考えるはずだ。その対策がプライバシーとセキュリティに関連するものであること、また、今回のようなネットワークへの攻撃がまた起こったときにPSNが耐えられるかどうかに関するものであることは容易に想像できる。
よって、米国などでPSNが再開していても、セキュリティの問題が完全に解決したのかどうかが全面的に明らかになったとはいえない。そのことから考えると、同ネットワークへの無料アクセスと無料コンテンツはなおさら疑問符の付く補償と言わざるを得ない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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