Microsoftが計画中の「Windows Azure Appliance」について、同社と同社のサーバパートナー企業はずっと口を閉ざしている。そのため、Microsoftの気持ちが変わって、「ボックス入りのプライベートクラウド」を提供する計画が変更になったのではないかという疑問も聞かれる。
しかし、Microsoftのサーバ&ツール事業部のゼネラルマネージャーを務めるCharles Di Bona氏が米国時間5月10日、イベントJefferies Global Technology, Internet, Media & Telecom Conferenceで語った内容に基づくと、Azure Applianceは現在もロードマップ上にあるようだ。
MicrosoftがWindows Azure Applianceを一部の自社パートナーに提供する計画を明らかにしたのは、2010年7月のことだ。その当時、Microsoftの幹部は、2010年内にHewlett-Packard(HP)、Dell、富士通などのOEM企業がWindows Azure Applianceの運用を開始し、顧客向けに提供するという見通しを述べた。2011年1月にこれらWindows Azure Applianceのパートナー企業をチェックしてみたところ、いくつかの企業が提供の遅れを思わせる発言をした。そして3月、HPはAzureベースのアプライアンスの提供に関して、あいまいな態度を示した。
5月10日、JeffriesのカンファレンスでDi Bona氏は、Oracleなどがプッシュしている統合アプライアンスに対する見解を参加者から求められ、以下のようにコメントした。
Oracleの戦略についてのコメントは控えたい。だが、これらのアプライアンスはとても面白い製品だ。ある意味では、明らかにフットプリントが大きい大企業向けで、自社の作業を軽減する凝縮したパッケージのようなものとなる。これは多くの場合、より幅広い企業にとってのクラウドと同じことだ。
そういったことから、ハイエンドの顧客をひきつけるという点で、面白い方法だといえる。この顧客セグメントはこれまでOracleのスイートスポットとなっており、多くの点から見てクラウドの将来を複製するような統合製品を提供していた。現在でもMicrosoftは、パブリッククラウドは、「Oracle Exadata」のようなスケールアップ型のアプライアンスにはない種類の機能と効率性を提供すると信じており、長期的にはこの方向に進んでいるとみている。だが、まだクラウドを利用する気になれないハイエンドユーザーに訴求する方法としては興味深い。
この時点でわたしは、おお!Microsoftがついにパブリッククラウドに本腰を入れ、「Windows Server」の売上高が減少するというリスクを犠牲にしても、プライベートクラウドの強調をやめることにしたのか、と思った。モデレータもわたしと同じように思っていたらしく、「Microsoftのアプローチは今後、パブリッククラウド配信モデルに傾倒していくことになるのか?」と続けた。
Di Bona氏は、ノーと述べ、Windows Azure Applianceがすでにロールアウトしていると答えた(本当だろうか?これまで、eBay以外の顧客--Microsoftが2010年夏より、常に言及しているApplianceのユーザー顧客だ--の名前を耳にしていないのだが)。
わたしの理解:サーバ&ツール事業部内でほんの1年前、パブリッククラウドのROI/コスト節約/アピールをもっとプッシュするという点でシフトがあった。同事業部のスタッフは、すぐに顧客がパブリッククラウドに移行するものではないと理解しているが、Di Bona氏は次のように語った。
「サーバ&ツール事業部内では、長期的にはわれわれの将来はAzureだと理解している。だが、近い将来ではない。短期的にはいまでもサーバで、ここでわれわれは収益を得る」とDi Bona氏。「しかし、非常に長いスパンで考えると、Azureがサーバ&ツール事業部の次の方向となる」。
数カ月前にMicrosoftの幹部より、TechEd 2011でWindows Azure Applianceの最新の計画について話をすると聞いた。TechEd 2011はいよいよ5月16日より米アトランタで開催される。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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