パナソニックは4月28日、2011年度の事業方針説明会を開催した。中期経営計画「GT12」の最終年度となる2012年度を見据え、コンシューマ、デバイス、ソリューションそれぞれの事業規模や構造改革について、代表取締役社長の大坪文雄氏が話した。
グループ再編後の姿として、コンシューマ、デバイス、ソリューションの各事業を3兆円超の規模へと拡大させるほか、現在38万5000人いる人員を2012年度末までに35万人へ減少させるとした。
具体的には白物家電、空調機器、カーナビ、プロジェクタなど、三洋電機とパナソニックの重複事業を集約、統合するほか、営業拠点や販売会社などの共通機能の統合、整理、半導体やモータ事業などの事業譲渡などを推進していくという。構造改革費用は2011年度で1100億円、2012年度で500億円規模を想定している。
事業分野別では、コンシューマ事業分野をAVCネットワークス、冷熱アプライアンス、グローバルコンシューマーマーケティングの3つに集約。AVCネットワークスでは、ネット商品で新規事業を創造・拡大するほか、三洋電機とのシナジー創出で、プロジェクタや縦型ムービーで新規市場を開拓していくという。
ボリュームゾーン戦略についてはインド向けにコスト力のある直下型LEDモデルの薄型テレビを投入するなど、新興国の占有率をアップさせていく。
デバイス事業分野は、オートモーティブ、デバイス、エナジーデバイスの3つに分け、社内用途に依存しない自立した事業として拡大を目指す。
グループの成長エンジンに位置づけられるエナジーデバイスは、リチウムイオン電池の低容量モデルの生産を中国へシフトさせるほか、車載市場において全方位対応の商品戦略を展開させる。これにより、2012年度には売上を2010年度の1.2倍となる3600億円へと拡大させる。大坪氏は「リチウムイオン電池は2010年の1年間で韓国企業の追い上げを受けた。生産を中国へシフトすることによって、部材の調達やロジスティクスの面で韓国企業と変わらない条件で作ることができる。こうした条件がそろえばモノ作りに強い日本企業として勝てるはずである。勝たなければならない」とした。
また、ソーラー事業に関しては、変換効率の高い「HIT」のコストダウンと高効率な「次世代HIT」を投入することで、2012年度に国内No.1、2015年度にはグローバルトップ3を狙う。
経営体質強化の取り組みとしては「攻める」と「変える」をキーワードに、出光興産との合弁会社「パナソニック出光OLED照明」として照明用有機ELパネルを手がけ、成長分野を攻めるほか、薄型テレビの事業構造改革に取り組むとのこと。
薄型テレビに関しては「固定費の負担が苦しい。プラズマと液晶という2つのパネルを持っているがゆえにパナソニックらしい商品展開ができていることも事実だが、今後はサイズによる商品の棲み分けを取り払う。さらにコストダウンの効果や製販連携、新興国市場への取り組みなど、まだできていないことが山ほどある。2011年度テレビの再生をかけ、もう一度挑戦してみたい。そこで手応えが得られれば、2012年度以降赤字からの脱却の可能性があると考えている」(大坪氏)と、事業戦略を変えることを発表した。
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