KDDIは4月25日、2011年3月期(2010年4月~2011年3月)連結決算を発表した。営業収益(売上高)は前年同期比0.2%減の3兆4345億4500万円、営業利益は同6.3%増の4719億1100万円、経常利益は同4.2%増の4406億7600万円、純利益は同19.9%増の2551億2200万円となった。
中部テレコミュニケーションなど固定通信事業におけるグループ会社の収益が拡大したが、シンプルコースへの移行に伴い、移動通信事業の音声ARPU(1契約あたりの月間平均収入)が大幅に減少したことから前年同期と比べると売上高は微減となった。
利益面では、東日本大震災による176億円の損失や、周波数再編に伴う現行800MHz移動通信事業帯設備の減損など、計1033億円の特別損失を計上した。一方、ジュピターテレコムの株式を保有していた中間持ち株会社4社を精算したことで税務上の整理損が発生し、法人税などが減少したため前年同期比19.9%の増益となった。
東日本大震災で被災した携帯電話基地局については4月22日時点で約93%まで復旧しており、4月末までにカバーエリアは震災前とほぼ同等レベルまで回復する予定。KDDI代表取締役社長の田中孝司氏は「津波がここまで広範囲にわたって影響を与えたのは想定外」と今回の震災を振り返り、さらなるネットワーク強化によって今後の震災に備える意向を示した。
スマートフォン「IS series」の販売台数は109万台で、2011年3月期の端末販売台数の約9%となっている。スマートフォンへ機種変更したユーザーのデータARPUは約1600円上昇したという。2012年3月期は端末販売台数の約3分の1を占める400万台のスマートフォンの販売を見込む。「スマートフォンの拡販により(2012年3月期は)データARPUが音声ARPUを逆転する見通し」(田中氏)。
田中氏は、2012年3月期の課題として移動通信事業における「auのモメンタムの回復」と固定通信事業における「増収増益の確立」を挙げる。モメンタムの回復には「解約率」「MNP」「純増シェア」「データARPU」の4つのKPIの改善が必要だと説明し、そのための施策としてスマートフォン事業のさらなる強化や周波数再編に向けた着実な対応を引き続き実施するとした。また固定通信事業については、FTTHの顧客基盤の拡大や法人向けソリューションの強化により増収増益を確保したいと語った。
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