Microsoftとトヨタ自動車(トヨタ)が車載IT技術についての戦略的提携を発表したことを受け、日本マイクロソフト(マイクロソフト)とトヨタ自動車は4月8日、国内での記者会見を開催した。
今回の提携は、Microsoftのクラウドプラットフォーム「Windows Azure」をベースにした次世代テレマティクス(移動体通信)向けのグローバルクラウドプラットフォームを共同で構築するというもの。トヨタでは、2012年より電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)向けにサービスの展開を目指す。両社はトヨタグループの開発会社であるトヨタメディアサービスに対して、7月までに10億円を出資する。出資比率などは今後調整する予定。
マイクロソフト代表執行役社長の樋口泰行氏は、今回の提携について「EV時代になって車とITが不可分になってくる。今回トヨタと一緒に仕事できることをうれしく思う」とコメント。マイクロソフトとして、Windows Azure上でのアプリケーション開発や技術協力、米国本社と連携したグローバル展開および運用のサポートを進めるという。
またすでに行っている取り組みとして、G-BOOK搭載車両から収集したプローブ情報をBing Maps上に表示することで、東日本大震災の被災地域における道路の通行実績を表す「通れた道マップ」を紹介。「AzureというPaaSとBing MapsというSaaSを使ったハイブリッドクラウドの一例」(樋口氏)と説明した。
トヨタ常務執行役員の友山茂樹氏は、同社が電気自動車やプラグインハイブリッド車、燃料電池複合型自動車(FCHV)などの次世代環境車を展開していく一方、エネルギー情勢が年々逼迫(ひっぱく)していると説明。新たなテレマティクスサービスのプラットフォームを迅速に実用化するためにAzureの採用を決めたとした。今後はG-BOOK向けのデータセンターについても、適切な時期に同プラットフォームに移行していく予定だという。
実はマイクロソフトとトヨタの提携の歴史は長い。1998年にはマイクロソフトの支援の下で情報サービス「GAZOO」を提供。その後2002年には「テレマティクスサービス」を開始。ここにはMicrosoft .NET Frameworkの技術を採用した。そして今回、グローバルなクラウド環境を構築すべく提携に至ったという。
なお今回の提携はエクスクルーシブなものではないと両社は説明する。「Azureは非常に公的なもの。われわれのアプリケーションについても、要請があれば(他メーカーとの連携も)前向きに検討していく」(友山氏)
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