UPDATE トヨタ自動車は、電気システムをより効率的に稼働するためのスマートグリッド技術を含めた、テレマティックスをMicrosoftのクラウドベース技術「Azure」上で開発および展開することに合意した。
トヨタは、同技術を使って、General Motors(GM)の「OnStar」サービスと同様のナビゲーションと診断サービスを顧客に提供する意向だ。同社はまた、音声コマンドで自動車の中から家庭の暖房や空調を作動させるといった利用法を想定している。トヨタ自動車の代表取締役社長である豊田章男氏は米国時間4月6日の記者会見で、「われわれは、自動車を情報ターミナルにすることで、今日の自動車の価値を高めるつもりだ」と述べた。
トヨタのグリーン(環境に配慮した)イニシアチブの中心に位置するこのサービスは、GPSシステムやエネルギー管理技術などのテレマティックスを、2012年にトヨタの電気自動車およびプラグインハイブリッド車向けに提供する予定である。トヨタは同技術を、2015年までに同社の全車種向けに展開したいと考えている。
この新技術は、現在日本で展開されているパイロットプログラム「Toyota Smart Center」の一環として試行される予定である。試行では、消費者向けに自分の自動車や家庭のエネルギー消費量に関する詳細な情報を提供し、消費者がエネルギーの利用を効率よく管理できるようにする。トヨタは、このようなスマートグリッドシステムによって、CO2排出量を75%削減することができると考えていると述べていた。
この提携により、両社は合わせて1200万ドルを、トヨタ子会社のトヨタメディアサービスに投資する。トヨタメディアサービスは、デジタル情報サービスをトヨタの自動車を利用する顧客に提供する予定である。
Microsoftはこの提携で、Azure技術に対する最高の顧客を獲得することになる。Azureは、企業がアプリケーションをウェブ配信サービスとして提供できるようにするサービス。同テクノロジを活用するのはトヨタだけではない。同社は、サービスを外部の開発者に開放するつもりであり、開発者は運転者にとって価値のあるサービスを作成できる。Microsoftの最高経営責任者(CEO)であるSteve Ballmer氏は「プラットフォームを正しくとらえることで、多くの機会が開かれる」と述べた。
豊田氏は今回の提携を発表する声明で、「Microsoftとトヨタのこの新しい提携は、世界中の消費者のためのより素晴らしい未来のモビリティとエネルギー管理の開発に向けた重要な一歩である。このような、より効率的で環境面において進歩した製品を製造することが、われわれの社会に対する貢献となる」と述べた。
一方でMicrosoftは、この提携によって、自動車事業にさらに深く進出することになる。ソフトウェア大手の同社はすでに、運転者が音声操作によって電話や音楽機器にアクセスできるようにする車内接続システム「Sync」に関してFordと提携している。Microsoftの最高経営責任者(CEO)であるSteve Ballmer氏は声明で、「(トヨタとの)提携に関する今回の発表は、われわれが今後も自動車業界への投資を続け、消費者にとって重要なサービスに注力する決意があることを示す素晴らしい例である」と述べた。
Microsoftのチーフ環境ストラテジストを務めるRob Bernard氏はつい先日の米国時間4月4日、Fortune Brainstorm Greenカンファレンスで米CNETに対し、同社のエネルギーモニタリングアプリケーション「Hohm」は期待していたほど消費者や公共設備企業に採用されていないため、同社は電気自動車の充電に力を入れていると述べていた。
Ballmer氏も豊田氏もどういった利用法が可能性としてあるのかあまり詳細は明らかにしなかった。エネルギー監視アプリケーションに関する広範な議論や、交通状況を基に運転者に別のルートを提示するGPSサービスに関する推測などがあるが、最終的にどんなサービスが提供されようと、トヨタは消費者が費用を負担することになると認めている。「ある程度まで、われわれは顧客に費用の負担を求めなければいけないだろう」(豊田氏)
豊田氏は、この新技術が1月のConsumer Electronics Show(CES)で披露した「Entune」サービスと連携することを期待している。Entuneを使うことで、運転者は音声コマンドを使って映画のチケットを購入したり、レストランを予約したり、音楽を聴いたりすることができる。Microsoftとの提携で生まれた技術があれば、「われわれは、Entuneに対してより一層広範なアプリケーションを提供することができる」と豊田氏は述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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