では、AndroidとChrome OSのタブレット版が開発中であるなかで、タブレットに対するGoogleの最優先事項は何なのだろうか?
現時点での答えは、Androidであることに間違いない。同OSは同社モバイル戦略の中心であり、少なくとも携帯電話では商業的に成功を収めている。現在、膨大な数のAndroidアプリケーションが利用可能であり、米YahooやMicrosoftといったGoogleの競合企業でさえもソフトウェアを提供している。
一方で、Chrome OSは未完成であり、概念的には広く受け入れられているソフトウェア開発形式から大きく飛躍している。これは、OSの下に組み込まれた内部のLinux OSではなく、Chrome OSのブラウザ上でのみアプリケーションが稼働するためである。
もちろん、Chrome OSユーザーが利用可能なウェブサイトやウェブアプリケーションは今も十分にあり、iPadに最適化されたGoogleの「Gmail」サイトなど一部はすでにタッチユーザーインターフェースが機能するように設計されている。しかし、インタラクティブで性能の高い高度なウェブアプリケーションを開発するためのツールは今のところ、モバイル端末やコンピュータ向けのネイティブアプリケーションを開発するためのものには匹敵しないし、大半の人はまだクラウドのみで生活する準備ができいない。
また、タイミングもChrome OSにとって好ましくない。同プロジェクトは2010年に立ち上げ予定だったが、2012年半ばまで延期されてきた。その一方で、ウェブアプリケーションをブックマークしたり購入したりするためのChrome Web Storeはすでに公開されている。
Googleは両方のタブレットプロジェクトを社内と市場で戦わせることもできるし、Googleの共同創業者Sergey Brin氏の言葉を信じるとすれば、AndroidとChrome OSは1つのプロジェクトに集約されるかもしれない。
しかしながら、これにはハードウェアやパートナー、開発者、小売業者、顧客など多くの外部関係者が関与しているため、Googleの内部的な進化論的過程によって最良の製品が生き残るというというような簡単な問題ではない。
これらの各関係者が勝ち組となり、新しいエコシステムが時間と資金の投資に値するものであるということを納得させなければならない。
早い時期にリリースし更新を繰り返すというGoogleの手法は、他者が関与している場合には運用が非常に難しくなる。ウェブアプリケーションとAndroidのネイティブアプリケーションは決して両立しないわけではないが、資源の限られる開発者らが、賭けの対象する場所をどこにしようとしたにしても、責めることはできない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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