DVDをクラウドに置き換える--ハリウッドが期待する新規格「UltraViolet」

Greg Sandoval (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2011年03月17日 07時30分

 DVDに続く新しいデジタルフォーマットをコンシューマーにとって魅力あるものにするため、大手映画スタジオの一部の関係者は、フォーマットのアップグレードによってDVDライブラリが過去の遺物になってしまうのを避けたいと考えている。

 「UltraViolet」(UV)という名称の新しいテクノロジ標準が、2011年夏に登場する見込みだ。ハリウッドはこのUVによって、人々が映画の収集に再び興味を持つようになり、停滞しているハリウッドのホームビデオ分野が再生することを期待している。UVを作成したのは、Disneyを除くすべての大手映画スタジオと、MicrosoftやNokia、ソニー、Comcast、Netflixなど映画業界と提携する多くの企業で構成されるコンソーシアムだ。UVのマネージャーが1月に述べたところによると、同テクノロジを利用することで、自分が所有する映画やテレビ番組をさまざまなデバイスやサービス上で再生できるようになるという。

 UVがコンシューマーに提供するものの中核にあるのは、サービスプロバイダーのサーバ、つまり一般的にクラウドと呼ばれている場所に映画を保存する機能だ。映画業界の関係者が米CNETに語ったところによると、UVで議論されている新機能の1つは、所有するDVDをコンピュータに挿入するようユーザーに依頼した後、UVがスキャンし、そのユーザーの所有物であることを確認するものだという。確認作業が終わると、UVはその映画を所有者のデジタルロッカーに加える。

 通常、メディア業界がコンテンツを販売するフォーマットを変更すると、コンシューマーは既存のライブラリを新しくするために出費を余儀なくされる。VHSテープはDVDプレーヤーでは再生できなかったし、CDプレーヤーとレコード盤に互換性はなかった。

 進歩しているようにも思えるが、一部のスタジオ幹部は、人々を今新しいフォーマットへ移行させるのは容易ではないということを認めている。第一に、UVのローンチが目前に迫っているにもかかわらず、重要な詳細はまだ決定されていない。また消息通によると、コンソーシアムのメンバーは、セキュリティや、UVをHDで提供するかどうかといった重要な問題に関して、まだ合意に達していないという。参加スタジオの中には、一部のコンソーシアムメンバーが単独行動を取って、UV以外のロッカーサービスにもコンテンツを提供し、それによってUVの交渉力が弱まってしまう可能性を懸念しているところもある。

 だが、UVが直面する最大の問題は、インターネットを活用するコンシューマーに新フォーマットを販売することかもしれない。そうしたコンシューマーの多くは、何年にもわたってファイル共有サービスから海賊版の音楽や映画をダウンロードしており、コンテンツにお金を払うことに慣れていない。

 さらにNetflixの存在もある。DVDコレクターは、オンライン動画レンタルサービス最大手のNetflixの登場によって、「Netflixのストリーミングサブスクリプションの月額料金は大体DVD 1枚の値段より安いのに、自分はなぜDVDを買っているのだろうか」と自問するようになった。料金を支払ったNetflixの会員は、莫大な数のテレビ番組と映画を視聴できる。映画業界の情報筋によると、Netflixのコンシューマーへの提案は、ある意味で、スタジオのコンテンツの価値を低めるものであり、映画スタジオが新しい配信手段を育てたいと願う理由の1つはNetflixなのだという。

UltraViolet

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