ソニーの新たな経営体制--次期CEO候補と「統合」戦略 - (page 2)

Erica Ogg (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2011年03月16日 07時30分

ビデオゲームを担当していた人物がテレビも担当することに

 テレビとオーディオは、何十年にもわたってソニーのドル箱だった。しかし、今はどうだろうか。Appleは10年前に「iPod」を発売し、ソニーの「WALKMAN」事業を事実上破壊してしまった。テレビ事業はサムスンの後塵を拝し、5年以上も赤字が続いている。

 平井氏の任命は、PlayStationがソニーの運命にとって非常に重要な存在になったことを示すものだ。長年にわたり、コンシューマーエレクトロニクス部門とビデオゲーム部門は、互いをまるで別の会社であるかのように扱ってきた。PlayStationグループは利益を上げており、ゲームや映画を「PlayStation 3」(PS3)にダウンロードできる「PlayStation Network」(PSN)を担当している。平井氏の複数の責任を統合することで、1人の人間がPSNと「Qriocity」プラットフォームの両方を担当できるようになる。Qriocityには、「Music Unlimited」のようなサービスがあり、楽曲を購入して、PS3やソニー製テレビ、Blu-rayホームシアターシステムのほか、さまざまなソニー製ポータブルデバイスにストリーミングすることができる。

平井氏は第2のStringer氏ではない

 Stringer氏(69歳)と比べて、平井氏は20歳ほど若い。ソニーの象徴的なブランド名が古くなり、かつてソニー製のステレオやテレビを持つことで得られたステータスがApple製品を所有することのステータスに変わったことを考えると、ソニーが同社の中核的なユーザー層、つまり若い男性ゲーマーにより近い経験を持ったリーダーを選ぶというのは、悪い戦略ではない。

 平井氏の現在の居住地は米国だが、生まれ育ったのは日本だ。そのことは、昔からソニーに注目している人なら、同社にとって重要だと言うだろう。同社の原点と遺産は紛れもなく日本的なものだからだ。先述のように、平井氏はソニーで成長し、同社ゲーム事業の成長に貢献したことが評価されている。Stringer氏はウェールズで生まれ、ジャーナリストを経てメディア企業の幹部を務めた経歴を持つ。同氏はまさに部外者であるという理由から、改革を行うためにソニーに連れてこられた。その試みは近いうちに終わりを迎えそうだ。

まだ確定事項ではない

 Stringer氏は2011年3月10日のThe Wall Street Journalとのインタビューで、平井氏がStringer氏の後継者に確定したわけではなく、「有力候補」であると語っている。Stringer氏は2年前、同氏が「四銃士」と呼ぶ4人の幹部社員を選んだ。この4人は英語に堪能な比較的若い幹部社員で、Stringer氏の改革を支えることになっていた。平井氏は四銃士の1人だった。吉岡浩氏もその1人で、現在はコンシューマー事業と並ぶグループであるProfessional and Device Solutions Groupの経営を任されている。

 Stringer氏は数年ごとに刷新を行うことで知られている。したがって、一部の人の推測どおりにStringer氏が2013年までCEO職に留まった場合、同氏が決定を翻す可能性も全くないわけではない。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]