Mac OS X向け仮想化ソフトで知られるParallels。同社の仮想化ソフト「Parallels Desktop」は、競合製品であるVMwareの「VMware Fusion」などを押さえ、世界で約80%のシェアを誇るという。国内に限定しても、そのシェアは60%超となっている。
しかし仮想化ソフト部門の売上は同社の全事業の約2割。それ以外の大半を占めるのは、ホスティング事業者向けの仮想化、自動化製品だという。
2月に中小企業(SMB)向けのクラウドインフラ「Parallels Automation for Cloud Infrastructure」などを米国で発表したばかりの同社は、2011年のクラウド市場をどのように見ているのか。Parallelsの日本法人であるパラレルス代表取締役の富田直美氏と取締役の土居昌博氏に聞いた。
富田:大企業、エンタープライズというのは会社の数でいえば世界の中でも数パーセント程度。それ以外はSMBやSOHOです。今までのビジネスというのは、その数パーセントのエンタープライズを相手にしていました。ITの資産も多くあり、インテグレーターもいるという重厚長大なものです。
我々の調査によると、エンタープライズ向けのビジネスは世界の年間IT支出のうち60%を占めているという結果があります。わずか数パーセントの顧客に対してサービスを提供すれば、60%を取れるというのは効率がいいでしょう。一方で我々は残り40%の市場を狙っています。しかしそうなると、90数パーセントの顧客にサービスを提供する必要があるのです。
これは効率が悪いように見えるかも知れませんが、その90数パーセントの企業というのは、重厚長大なシステムを持つのではなく、ホスティングに頼るユーザーがほとんど。サーバを貸す、クラウドサービスを提供するなど、さまざまなホスティング事業者がいますが、彼らがすでにアプローチできているのです。ですので、そういったホスティング事業者にソリューションを提供するのが我々のモデルです。ホスティングこそがクラウドの中心になるでしょう。正確な数字は公開していませんが、ここ数年の売り上げは年率50%ペースで成長しています。
富田: クラウドの話になった際、多くの人は「仮想化の技術がどうだ、ハイパーバイザがどうだ」という話になります。もちろん技術もありますが、ホスティング事業者にとっては、その仮想化プラットフォームの上に載るモジュールが重要になります。
こういったモジュールを自社で開発するとなると、とてもコストがかかります。我々はこういった仕組みを10年前から1つずつ作ってきました。リソースマネジメントの提供に始まり、課金やプロビジョニングといったモジュールを提供してきました。そしてそれらはホスティング事業者に使われる中でブラッシュアップされてきました。
土居:レンタルサーバやケーブルテレビ事業者など、広義でのホスティング事業者は300~500程度と言われています。その8割には、何らかの形で我々のソリューションを使ってもらっています。
主力製品はコントロールパネルの「Parallels Plesk Panel」です。SMBにとってコントロールパネルはクラウドを利用するための重要な製品になります。エンタープライズであれば、設定を変える際にサポートに電話をかければいいのかも知れませんが、SMBではユーザーがパネルを通じて設定を変える必要があります。
最近まではコントロールパネルを自社で作るという流れがありました。しかし一度作っても、アップデートの際にメンテナンスが必要となったりします。コントロールパネルの次に注力しているのは仮想化ソリューションですね。
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