パラレルスがSMB市場を狙う理由--「ホスティングこそがクラウドの中心になる」 - (page 2)

岩本有平(編集部)2011年03月03日 19時12分

富田:これまで中小企業はCRMなどを利用して合理化しなくても問題なかった。これは必要性の問題でしょう。

 生き残りに必死な中小企業はその必要性に気づいています。営業から帰った社員に「今日はどうだった?」と口頭で語るより、情報を共有できたほうがいいですからね。

土居:今後クラウドがもっとも浸透するのはSMBではないでしょうか。今までのITというのは、かなりの人とお金が必要になるものでした。クラウドはそういう煩わしさから解放されるのだから使わないのは損。「使いたい分だけ使う」という性質のものですから、数で多いSMBの利用が主流になるでしょう。

 またエンタープライズはコンプライアンスなどのしがらみからクラウドの利用に時間がかかります。しかしSMBはそのしがらみも少ない。

富田:ここ最近ではiPhoneやiPadにはじまり、スマートフォンやタブレットも次々と発表されています。これらはボタンひとつでコンテンツを購入できます。今のところソフトは本体の中に入っていますが、ソフトが本体内にあるのかクラウド上にあるのか、意識しないでいいというカルチャーができつつあります。

 そうなると、「なぜ毎回ソフトをアップデートしなきゃいけないのか」となります。ソフトを入れることが重要ではなく、(利用できる状況を)維持することが大事。それが結果的にクラウドに移行すればいいと考えています。

IaaSやPaaSといった、アプリケーションレイヤ以外の製品を提供することは考えられていますか?

土居:「はいどうぞ、Linuxを使ってください」とSMBに言っても、利用するのは難しいでしょう。勤怠管理なり、CRM、メールといったアプリケーションがあればいいんです。IaaSやPaaSはクラウドの一部としては絶対に必要でしょうが、SMBが求めるものではないでしょう。

「クラウド」は2010年のバズワードでしたが、これからはビジネスとして広がっていく段階です。その中でParallelsはどういう立ち位置を狙うのでしょうか。

富田:正確な意味で「クラウドがビジネスになっている」という企業はまだほとんどないのではないでしょうか。2011年はそれがいよいよ具体的なサービスになってくる。モバイルデバイスも変化し、クラウドが一般の人を支える存在になる。

 そこに今いるのはGoogleでありAmazon.comでありMicrosoftです。技術ではなく、サービスとしてクラウドを提供する。それこそが成長に貢献していくことになります。

 Parallelsとしては、「誰でもクラウド事業者になれる」というソリューションを提供していきます。中小のホスティング事業者がクラウド事業を強化したくなった時、彼らにサービスデリバリのためのソリューションを提供していきます。

 また一方でParallelsがビッグネームと名を連ねるケースも出てくる予定です。Microsoftとは人材も含めて交流がありますが、Windows Server向けコントロールパネルで協業していく話もあります。たとえエンタープライズにリーチしている企業であっても、ホスティング事業者、さらにはその先の膨大な数のエンドユーザーにリーチするためには我々におつきあいいただくことが理にかなっているのではないでしょうか。

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