ゆったり構えよう。こういったことには時間がかかるものだ。
おおまかに言って、これがUSB Implementers Forum(USB-IF)のプレジデントJeff Ravencraft氏からのメッセージである。Universal Serial Bus(USB)の第3世代バージョンの普及に、なぜこれほど長く時間がかかっているのかと尋ねたときのことだ。Intelなどの企業は、2007年からUSB 2.0の後継規格を謳い続けている。
「歴史的に、USBをごく初期から導入したチップセット会社は世界に1つもなかったということを人々は忘れている。そのようなことはUSB 1でも起こらなかったし、USB 2でも、USB 3でも起こらなかった」とRavencraft氏は述べる。Intelのような企業が自社のプロセッサに付属するチップセットにUSB 3.0のサポートを組み込むには、「少なく見積もっても、2年以上はかかる」という。
その間に、先陣を切る企業がUSB通信を処理する特殊用途チップを製造し、先んじて新規格に対応するデバイスが登場し、業界団体が相互運用性の問題を解決するための接続テストを実施する、と同氏は言う。現在、そのプロセスが進行中であり、USB 3.0が主流への道を歩みつつあるところだ。
USBチップのコストは1年以上前には1枚約7ドルだったが、今ではUSB 3.0に接続するデバイス向けのものは約1ドル、USBデバイスを接続できるコンピュータなどのいわゆる「ホスト」システム向けのものは約2ドルに下落したという。
「1セントたりともムダにはできない。しかし、企業はその価格で『やっていくつもりだ』と言っている」(Ravencraft氏)
USB 2.0は至るところに普及しており、「Windows」搭載PCという枠をはるかに超えて「Mac」、携帯電話、その他あまたの電子デバイスに広まり始めた。しかしUSB 3.0(これを使用するデバイスがUSB-IFのテスト要件を満たせば「SuperSpeed USB」と呼ばれる)は、未だ市場に出る途中の段階にある。
USB 3.0のセールストークは次のような決まり文句になっているようだ。1秒あたり5Gビットのデータ転送速度はUSB 2.0の10倍で、電力消費は3分の1削減され、送信できる電流は80%増えるため携帯電話などのデバイスをUSB経由で充電する時間が短くなる。この技術を開発しているIntelなどの企業は、その実用化に向けて2008年11月にUSB-IFに仕様を提出した。
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