日本オラクルは1月25日、データの連携および統合を担う新製品「Oracle GoldenGate 11g」の提供を発表した。GoldenGate 11gは、異なるデータソースから、他のシステムへリアルタイムでデータレプリケーションを可能にする。分析の精度向上に加え、システムを移行および拡張する際のコスト低減化といった効果をもたらすという。
GoldenGate 11gは、Oracleのデータベース間で、片方向のデータ複製、双方向の同期、ログの高速転送などが実行できるとともに、IBM、Microsoft、Sybaseなど他社の主要データベースにも対応している。従来、データベースの移行やアップグレードでは、基本的にシステムを停止させて移行先へデータを複製する作業が必要だった。GoldenGate 11gでは、最初に実行する複製元データベースから複製先への全体レプリケーションをオンラインで実行し、それ以降のデータベース複製は、最初の開始時刻を処理開始ポイントとして指定することで、差分データを漏れなく反映させるというしくみ。これにより、データベースを停止させることなく移行が可能になるとしている。
日本オラクルによれば、「数社に対して先行適用した事例では、Oracle Database 9iから同11gに移行したが、ダウンタイムは約5分であり、アプリケーションはほとんど止まらなかった」(日本オラクル 常務執行役員 テクノロジー製品事業統括本部長 三澤智光氏)という。
GoldenGate 11gは、米Oracleが2009年に買収した米GoldenGate Softwareの製品。従来の10gは、ほぼGoldenGate Softwareの製品に沿ったものだったが、11gで「Oracleの開発手法に準拠」したと三澤氏。同社によれば、Oracle GoldenGateは全世界で500社以上、4000システム以上の導入実績がある。国内市場では、11gで本格展開を始める考えだ。
GoldenGate 11gでは、レプリケーションプロセスの最適化により、全体的なパフォーマンス向上や障害時におけるリカバリ時間の短縮を可能にするとともに、管理コマンドやログ管理機能の強化によって運用管理性を向上させた。さらに、キャプチャ機能の強化により、ダイレクトロードのトランザクションへの対応を可能とするなど、柔軟性を高めている。
日本オラクルでは、同期や複製などのデータ連携、データベースの移行、アップグレードのほか、データのリアルタイム分析やシステムの拡張といった課題にも対応できるとみている。たとえば、データをリアルタイム分析する場合、これまでのシステムではデータ連携に時間がかかり、最新のデータを活かせなかったり、十分なデータ量を収集できなかったりすることで、分析すべきデータの質の劣化がビジネスの機会損失につながる危険性があった。GoldenGate 11gでは、データ連携時間を大幅に短縮可能なため、機会損失を防げるという。また、システムを停止させずに移行、統合を可能にすることは、コスト削減に加え、さまざまな危険性の回避にもつながる。
今回この製品が投入される背景には、「情報インフラが高性能化したことで、システム要件も変化している」ことがあると、三澤氏は説明する。ビジネス環境が激しく変動するなか、企業は迅速な意思決定と、よりタイムリーな情報の取得を求められるため、「ITはこれらの要求に応えなければならない」(同)との考えで、国内市場での潜在力は高いとみている。
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