Wintel(WindowsとIntel)陣営は、ネットブックで正反対のことを行っている。ネットブックは非常に持ち運びしやすく、低価格であることから大きな可能性を秘めている分野だ。しかし、その設計は目新しいものではなく(基本的には一部機能を省いた小さなノートPCである)、ハードウェアは意図的に低速なものが採用されており、製造品質も低い。これにはわけがある。つまり、より利益率の高いメインストリームノートPC市場への破壊的な影響を最小限に抑えようとしているのだ。
Appleは、300ドルのネットブック市場に参入したいという素振りを見せなかった。同社が選択したのは500〜600ドルのiPadだ。iPadの設計は破壊的で市場を一変させるようなものであり、価格も一部の消費者がネットブックの代わりにiPadを購入したくなる(筆者のその1人だ)水準に抑えられているが、一方ではいずれ「MacBook Air」のシェアを奪うかもしれないという興味深い可能性も示している。
あるいは、逆にMacBook AirがiPadのシェアを脅かしているのだろうか。Appleは現在、11.6インチのMacBook Airを999ドルで提供しているが、それによってiPadの購入を躊躇する人が出てきている。Cook氏はこのことに関して次のように述べた。「Steveがこれをうまく説明していると思う。『仮にMacを開発しているのが別の企業で、iPadを開発しているのもさらに別の企業だとしたら、Macを開発している企業はiPadに対抗するためにどのような製品を開発するだろうか。その答えがMacBook Airだと思う』と言っている。驚くべき洞察力であり、非常に優れた見方をしていると思う」
これを、十分な機会があるにもかかわらずタブレットを理解できない(理解しようとしないのだろうか)Wintelともう一度対比してみてほしい。PCメーカーは何年も前から「タブレット」を提供してきたが、それはせいぜいノートPCに変更を加えて、中途半端なタブレットUIを採用した程度のものにすぎなかった。ここに市場破壊や共食いの脅威は存在しない。
この記事の教訓は次のようなものだ。MicrosoftとIntel、そしてPCメーカーはすぐに自己破壊を始める必要がある。さもなければ、Apple製デバイスと「Android」ベースのデバイスがパーソナルコンピュータを作り直してPC市場への浸食を進めていくなか、Wintel陣営が奪い合うシェアはどんどん小さくなっていくだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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