京セラ、太陽電池は大競争時代へ--トータルコスト重視で市場に挑む

加納恵(編集部)2011年01月24日 16時54分

 京セラは1月21日、太陽電池事業における取り組みについて説明会を実施した。市場動向や生産体制の拡充など、代表取締役社長の久芳徹夫氏が話した。

代表取締役社長の久芳徹夫氏 代表取締役社長の久芳徹夫氏

 久芳氏は「地球環境問題は逼近の課題。再生可能エネルギーの利用促進として有望視される太陽電池への注目はさらに高まるだろう」とし、欧州、米国、日本の現状を話した。

 欧州では最大の市場であるドイツで買取価格の引き下げが予定されており、伸びは鈍化するとした。しかし発電プラントなどの大型案件の増加、住宅用を含めた小型案件に有利な政策の推進などがあり、市場全体はゆるやかに拡大すると予測した。

 グリーンニューディール政策を推進する米国では、需要が大幅に拡大するとした。現在米国の需要の割合は1割弱程度だが、数年後には2割を占めるまでに急速に拡大するだろうとした。

 日本市場では、2009年1月からの補助政策、同年11月からの高額買取制度といった政策の継続により、住宅への導入件数は増加する見込み。産業用の需要拡大にも期待しているという。

  • 太陽電池市場の現状と今後の予測

 また、そのほかの地域では中国とインドを挙げ、国家政策による太陽電池の積極導入計画で大幅に市場が拡大すると予測。こうした市場動向を受け「世界最大の市場である欧州を中心とし、旺盛な需要の米国、補助政策を打ち出す日本などを、堅調に拡大すると見込むことで、2010年度の太陽電池市場は前年比約2倍の14.3ギガワットになると予測している。今後も政府の政策が続けば2015年度には32.4ギガワットまで市場は拡大し、年率18%で伸びると考えている。拡大する市場に対して、京セラでは競合他社との差別化を図り、積極的な事業展開をしていく」(久芳氏)と今後の方向性を示した。

 現在、京セラではセル工場を滋賀八日市と滋賀野洲の国内2拠点、モジュール工場を三重伊勢、中国、メキシコ、米国、チェコの国内外5拠点で展開している。

 同日付で中国天津にある工場に新工場棟を完成させ、モジュールの生産体制を増強することを発表。2011年春に本格稼働し、年間生産能力は現在の約3.5倍による360メガワットになるとしている。

  • 太陽電池セルの増産計画

 あわせてチェコ工場の敷地内に2棟目となる第2工場の建設を開始したことも発表した。2011年秋に完成予定で、完成次第順次稼働する予定とのこと。第2工場では、年間生産能力360メガワットを目指しており、すでに稼働している第1工場と合わせ560メガワットの年間生産能力を持つとしている。

 また、国内で受け持つセルの増産計画に関しては2010年度見込みで600メガワット、2011年度で800メガワット、2012年度には1ギガワットを計画中だ。これに対し久芳氏は「旺盛な需要に対応する上で、さらなる増設も検討している」とコメントした。

 「近年の太陽電池市場は、旺盛な需要を背景に多くの新興メーカーが市場に参入し、大競争時代を迎えている。そうした中、京セラでは低価格を重視するだけでなく、長期信頼性が高いトータルコスト重視の製品を提供していくことが重要なポイントになると考えている」(久芳氏)とまとめた。

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