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iPhoneがNTTドコモとKDDIから発売される可能性を考察--米国は複数事業者からの販売が現実に - (page 2)

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KDDIのネットワークエリアから考察

 そこで、2つめのポイントとして「KDDIのネットワークカバレッジ」を指摘したい。表3を見て欲しい。この通りKDDIの基地局は現状、都心部は2GHz帯と旧800MHz帯を中心に利用されており、地方部は新800MHz帯と旧800MHz帯の利用が中心である。だが、Verizon向けiPhoneは旧800MHz帯のエリアでは使うことができない。そのため、全国での利用はやはり心許無いといえよう。

 仮にKDDIが割り切って、Verizon向けiPhoneをそのまま販売したとしても、旧800MHz帯は一切使えないので、地域によっては「SBMよりもつながりにくいKDDIのiPhone」になる可能性がある。

表3:KDDIの地域別基地局数
 2GHz帯旧800MHz帯新800MHz帯
北海道 400 1,000 1,300
東北 680 2,600 2,400
関東 6,400 8,900 5,500
信越 230 1,000 1,200
北陸 130 670 900
東海 840 3,500 2,600
近畿 2,700 4,300 3,800
中国 500 1,200 1,700
四国 180 840 1,200
九州 970 1,990 3,100
沖縄 180 330 270
出所:総務省無線局情報ホームページから筆者作成
*注:総務省の無線局情報では「無線基地局免許数」であるため、実際のKDDIの基地局ローケーション数と異なる場合がある。

SBMと同様の販売施策はできるのか?

 3点目として「マーケティングや販売施策上の課題」を考察する。SBMは、現状レベニューシェア(パケット代金の一部をAppleに支払う)し、さらに販売台数についても相当数コミットメントしていると想定される。このコミットを厳守するために、SBMはiPhone向けには極度にインセンティブを支払い、実質0円を実現しているというところだろう。そして、SBMは本来のスマートフォンの月額パケット通信料金の上限5700円を、iPhone向けには実質的に4200円に値下げ(KDDIはダブル定額のスマートフォン上限は5700円、ISフラットでも5460円)している。

 このように、SBMが取り組んできたことと同様のマーケティング、販売施策をKDDIが果たしてできるだろうか。現在「Android au with Google」と声高にマーケティングしているKDDIが。

 以上のことから、仮にKDDIがiPhoneを扱うとしても、現状考えられるだけで多くの制約が存在するので、KDDIからの発売は無いのではなかろうか、というのが筆者の考えだ。

障壁が低いNTTドコモの可能性

 日本においてiPhoneの複数事業者が実現するとしたら、KDDIよりもむしろNTTドコモの方が可能性は高いのではないか、と筆者は考えている。

 衆目の知るとおり、iPhone 4はNTTドコモの800MHz帯のW-CDMA(3GPPで定めるバンドVI:上り830〜840、下り875〜885)に対応している。このこと自体はAT&T(米国で2007年以降iPhoneを独占販売してきた)が、バンドV(上り824〜849、下り869〜894)でもW-CDMAを運用しており、一部バンドVIとVは重なるため、いわばローミングなどの利便性も考慮し「ついでに」対応しただけと想定する。しかし、VerizonのiPhoneをKDDIに対応させるよりも、技術的障壁はNTTドコモへの対応の方がはるかに低いということはいえるだろう。

 既に、NTTドコモのネットワークを利用したMVNOである日本通信が香港などで販売されるSIMロックが解除されたiPhone 4を利用することを前提としたmicroSIMを販売しているように、NTTドコモのネットワークでiPhoneが利用可能であることは証明済みだ。

 無論、周波数対応以外にもNTTドコモのネットワークやサービスに対応させるための改修は必要であろうが、現実味としては明らかにKDDIよりも高そうだ。加えて、2011年はNTTドコモもKDDIもAndroid採用のスマートフォンのラインアップ強化が想定され、米国ですでに四半期での出荷ベースシェアにおいてAndroid OSがiPhoneを上回ったように、いよいよ日本国内でのAndroidの販売シェアがiPhoneを上回る可能性は高い。

 これまでも、NTTドコモでのiPhone、iPad採用を期待する声は高い。しかしながら、両社の条件が折り合わなかったのか、NTTドコモでの採用には至っていない。だが、昨年、一昨年と比べ明らかに日本におけるスマートフォンの状況は一変してきている。NTTドコモ、Apple双方ともに条件が折り合えば、NTTドコモでのiPhone採用の可能性も事と次第によってはあるのではなかろうか。

 一方で、「SIMロック解除における3つの重点」でも触れたとおり、日本国内において、iPhone普及の功績はAppleの製品力もさることながら、やはりSBMの販売力やマーケティング力によるところが大きい。こうしたSBMの功績に対して、Appleも不義理をしない形で次なる一手としての多キャリア化を考える時期に差し掛かってきているのではないか、と想定する。

筆者:梶本浩平(かじもと こうへい)

金融機関にて、リサーチアナリストとして通信セクターを担当。株式上場前のNTT移動通信網(現NTTドコモ)に入社後、iモードの初期開発メンバーとしてサービス立ち上げに従事した後、AT&Tワイヤレスを始めとした海外通信事業者との資本提携業務に携わる。2007年9月より、みずほ信託銀行調査役・シニアアナリストとして通信、インターネット、電子部品のセクターアナリストとして従事した後退職。2008年11月より現職。

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