iPhoneがNTTドコモとKDDIから発売される可能性を考察--米国は複数事業者からの販売が現実に

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 「2011年のモバイル業界展望--SIMロック解除における3つの重点」の記事内で、「iPhoneの1国複数事業者制は米国でも?」と指摘したとおり、Appleのお膝元でもある米国で、Verizon Wireless(Verizon)によるiPhoneの発売が発表された。米国でも、ついにiPhoneの1国複数事業者制が現実のものとなったわけだ。

 このこと自体は、以前よりCDMA版iPhoneが発売されるのではないか、とうわさされており、さして驚くべき事態ではない。外資系金融機関にて、リサーチアナリストとして通信セクターを担当している立場から、筆者の年始の見通しに補足する形で、今回のAppleによるVerizonへの供給が、日本に与える影響を考察したい。果たして、ソフトバンクモバイル(SBM)以外からiPhoneが発売される日は来るのだろうか。

 今回の発表に関する各ニュースを見ていると、

  • 通信方式としてCDMA2000 1xEV-DO Rev.A(800MHzと1900MHz)に対応し、一方でW-CDMAとGSMには対応しない。
  • CDMA版iPhone 4は40の国で音声ローミングに、20の国でデータローミングに対応(ローミング先には日本も含まれる様子)。

ということが明らかになっている。

 これをもって、日本国内で唯一CDMA2000 1xEV-DOを運用するKDDIへのiPhone導入の可能性が高まったとの期待がでそうだが、筆者はそのようには考えない。無論、まったく可能性がないわけではないが、単純にVerizonのiPhoneを日本に持ってきても、KDDIではかなり限定的にしか利用する事ができず、一筋縄ではいかないと想定する。

 結論から、言えばKDDIが調達する可能性はかなり低いだろう。本件については、以下3つの評価軸で現状考えられうる点を整理する。

「Verizon iPhone」のKDDI導入の可能性

 最初に「Verizon iPhoneのKDDI対応」について考えてみる。通信関連のソフトウェアおよびハードウェアの改修により、KDDI向けに仕様変更したiPhoneを作る事はAppleも可能だろう。ただし、端末の改修については、KDDIが相当数の調達数量をコミットし、改修の為の費用負担をAppleから求められる可能性が高い。これは、KDDIとVerizonとで周波数の運用方法が決定的に異なるので、端末もそれに合わせた形でKDDIの為だけに作らなくてはならないという事情に起因する。

 表1、表2はKDDIとVerizonの運用する周波数だ。

表1:KDDIとVerizonの800MHz帯運用状況(単位MHz)
  800MHz帯
上り 下り
KDDIの旧800MHz887〜889
898〜901
915〜925
832〜834
843〜846
860〜870
KDDIの新800MHz825〜830870〜875
Verizon824〜849869〜894
出所:会社資料から筆者作成
表2:KDDIとVerizonの2000MHz帯運用状況(単位MHz)
  1900MHz〜2000MHz帯
上り 下り
KDDI1925〜19402115〜2130
Verizon1850〜19101930〜1990
出所:会社資料から筆者作成

 KDDIは、目下2012年7月で停波する予定の旧800MHzから新800MHzへの移行を促している。現状、KDDIの販売するほぼすべての端末は旧800/新800/2000MHzの3バンドに対応し、旧800MHzにしか対応していない端末の巻き取りを進めている最中だ。

 表1で注視してもらいたいのが、現在、KDDIが運用する旧800MHz帯とVerizonの800MHz帯は上りと下りがまったく正反対なのである。よって、Verzon向けiPhoneの日本国内におけるローミングは、Verizonの2GHz帯の運用状況からもわかるとおり、KDDIの運用する帯域との親和性が高い2GHz帯(利用周波数が近い為、送受信バンドを広げる)と、KDDIの新800MHz帯で対応するものと想定され、ローミングが実現するものと想定される。

 つまり、単にVerizonユーザーがローミングで一時的に日本国内で使う分には利用エリアが限定されることになるであろうが、それであれば、2GHz帯と新800MHz帯でもとりあえずは十分ということなのだろう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加