シャープ開発者に聞く--メディアタブレット「GALAPAGOS」が目指す道

 アップル「iPad」、アマゾン「キンドル」に加えて、国内メーカーからも電子書籍端末が続々と登場し、電子書籍元年が本格化しそうな勢いだ。現在、市場をけん引しているのはモバイルコンテンツ。2010年の総務省の資料によると、2004年に16億円だった電子書籍の市場規模は、2009年には約500億円にまで拡大。すでに約1200億円の市場を持つ着うた、約900億円に届きそうなモバイルゲームに次ぐ市場にまで成長してきている。そこで、「GALAPAGOS」を発売したシャープ ネットワークサービス事業推進本部の松本融氏、笹岡孝佳氏に話を聞いた。

――なぜ、この時期(2010年12月)に発売したのでしょうか。

  • 松本融氏

松本氏:海外で電子書籍がブレイクしていて、2010年中にビジネスを開始しないと、海外のサービスが日本を席巻する危機感がありました。日本では電子書籍市場はこれからなのです。まだ狭い市場でしかないので、さまざまなメーカーから端末が登場することで、狭い市場の中で競争するよりは、各メーカーが協力して本格的に市場を広げていかないとなりません。

 技術と仕組みの進化と外的要因から判断して、2010年中がサービスを開始するタイミングでした。海外から進出してくる電子書籍サービスを黙って見ているのか、参入するのかということです。

 シャープは、「XMDFフォーマット」という日本語を電子端末で読むために最適なフォーマットを持っていますし、デバイスを開発する能力を持っています。持っていなかったのは配信する仕組みだけでした。そこで、海外と同じ配信の仕組みではなく、プッシュ配信をはじめ、日本メーカーならではのサービスやサーバの仕組みを検討して作り上げてきたのです。狙い通りの時期に、狙い通りの内容で投入することができました。

――狙い通りということは、GALAPAGOSはほぼ完成形に近いのでしょうか?

  • メディアタブレット「GALAPAGOS」ラインアップ

松本氏:それについては、完成形に近い部分もありますが、載せきれなかった機能もあります。だからこそ、GALAPAGOSというブランド名には必ず“進化する”と付けているのです。

 今は紙の書籍が電子に置き換わったことに加えて新たな提案、プラスアルファのことがやっとできるようになった状態です。このプラスアルファをどれだけ拡大できるかが重要なのです。だから、書籍を紙から電子に置き換えるのではなく、新しいメディアを作る意味で「メディアタブレット」と呼んでいるわけです。

 映画雑誌だったら、映画の予告編を見てから行く映画決めたりチケットを買ったりしたいですよね。また、どこでその映画をやっているのかも必要でしょう。レストランを紹介している誌面でしたら、食事メニューだけでなく、店構えやどんな店長がやっているのかを動画でも紹介できます。情報を「知る」だけでなく「行動」に移せるようなものにしたいのです。

 書籍だけだと狭いイメージかもしれませんが、紙から電子に置き換わっただけでいいものもありますし、予約を取るなど行動につながるものもあります。紙の書籍をきっかけにして行動している場合も多く、それが電子に置き換わった時に、どのように世の中が変わるのか、メディアが変わるのかを、プラットフォームとして提案できて、このプラットフォームの上で、いろいろな企業がビジネスできればと思っています。

――GALAPAGOS端末の特徴を教えてください。

  • 笹岡孝佳氏

笹岡氏:ハードウェアに加え、サービス、配信サーバをあわせてトータルで開発しました。これにより自動定期配信を実現しています。朝刊や夕刊の発行タイミング、週刊誌や月刊誌の発売日にあわせて自動的に書籍が端末に届きます。

 買った書籍データだけを提供するのではなく、おススメの本やユーザーの嗜好にあわせたもの、広告、チラシなども自動的に配信でき、ユーザーにさまざまなものを提案できるようにしています。

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