【レビュー】ソニー電子書籍端末「Reader」--ストアの品ぞろえと使い勝手をチェック

 2010年12月10日、ソニーの電子書籍端末「Reader」の発売が開始された。同時に、Readerで読める電子書籍を販売するウェブサイト「Reader Store」も開店となった。開店時は2万冊をそろえたという。

 前回は、Reader Storeのオープン前の印象をレポートしたが、今回は、実際にサービスの始まったReader Storeの使い勝手などを含めて、もう少し詳しくReaderについて見ていく。

Readerのラインアップ

 Readerには、5型の「Pocket Edition」と6型の「Touch Edition」がある。SDカードとメモリースティックPROデュオが使用でき、なおかつ音楽再生が可能なのは、Touch Editionのみだ。

「Reader」ラインアップ
名称「5型 Pocket Edition」「6型 Touch Edition」
サイズ高さ145.4mm×幅104.6mm×奥行き9.2mm高さ169.6mm×幅119.1mm×奥行き10.3mm
重さ約155g約215g
著作権保護付き書籍XMDF(.mnh)XMDF(.mnh)
著作権保護なし書籍XMDF(.zbf)、EPUB、PDF、TextXMDF(.zbf)、EPUB、PDF、Text
写真JPEG、GIF、PNG、BMPJPEG、GIF、PNG、BMP
著作権保護なし音楽MP3、AAC
外部メモリスロットメモリースティックPROデュオ、SDカード(SDHC)

 今回、レビュー用に借りた機種は、Pocket Editionのブルーと、Touch Editionのブラックの2種類。Pocket Editionのブルーは、かなりブラックに近いブルーで、ブラックと並べてみても色の違いが分かりにくい。Touch Editionのブラックは、つや消し加工もあいまってシックで落ち着いた黒で、ビジネスパーソン向けといった印象だ。

 Readerのサイズや色の雰囲気を、Kindle、iPad、iPhoneと比較してみた。並べてみると、Readerのコンパクトさが際立つ。日本語の電子書籍が読めるということで、iPadがよく比較対象に上がるが、このサイズの違いを見ればiPadは気軽に外で読書するための端末としては大きすぎることが分かる。

  • 5型と6型の画面サイズの違いは並べてみるとはっきりする。またPocket Editionのブルーは縁の色で分かる

  • 左から、Pocket Edition、Touch Edition、Kindle WiFi、Kindle 2

  • 左から、iPhone 4、Pocket Edition、Touch Edition、Kindle WiFi、Kindle 2、iPad

Reader Storeの品ぞろえと使い勝手は?

  • Reader Storeの執筆時点でのホーム画面。シンプルで見やすいデザインだ

 鳴り物入りで始まったReader Store。Readerをまだ持っていなくても、ウェブサイトで本のラインアップを見ることはできる。特集やおすすめ本、コラムなどもあり、これから充実してくれば、本を選ぶ楽しみが増えそうなコーナーが並ぶ。

 Readerには、試し読みができる本があらかじめインストールされているが、これらの本の続きを読みたい場合は「プリインストールコンテンツの購入」コーナーからすぐに購入できるようになっている。実際にReader Storeで電子書籍を購入するには、My Sony Clubのアカウントの作成とReaderの機器認証が必要となる。

 また、購入した電子書籍をReaderで読むには、WindowsのPCに、eBook Transfer for Readerという専用のソフトウェアをインストールしておき、このソフトウェア経由でReaderに電子書籍を取り込む必要がある。

  • Reader Storeの「マイページ」にある「利用機器の登録/解除」画面ででReaderの機器認証を行うと、eBook Transfer for Readerに切り替わって認証される

 ただし、ジャンルで本を探そうとしても、まだ数が少ないせいか、ミステリーもライトノベルもエッセイも、すべてが「文学」ジャンルにあるというように細分化されていない。そのため、読みたい分野の本だけをざっと眺めて購入するということができない。にもかかわらず、「タイトル」「著者名」「ジャンル」の3種類からしか検索ができないため、知っている本しか見つけ出せないという状態だ。知っている本はもう読んだことのある本だ。これでは、未知の本に出会いたいという本好きの欲求は満足させられず、せっかくのReaderの魅力を生かせないのではないか。

 Reader Storeの2万冊以上の品ぞろえというのは、数字の上では多く見える。しかし、じつは書店で2万冊というのは意外に選択肢が少ないということが、実際にストアを見てみるとすぐに分かる。紙の本でベストセラーを出している著者の本が目玉として出ているが、その著者の書籍がすべてそろっているわけではないので、インパクトは薄い。

 また、ラインアップに新書が多いのも気になる。そもそも新書であれば、安くて小さくて軽いため、わざわざReaderのような高額なデバイスを買わなくても、手軽に読める種類の本だ。四六判と呼ばれるサイズのビジネス書や、持ち歩くには重すぎると思われるハードカバーの本などが豊富にそろって初めて、Readerを買った満足感が得られるのではないだろうか。

 さらに残念なことに、Readerのホーム画面には「定期購読」というメニューがあるが、執筆時点では、まだサービスは始まっていない。雑誌や新聞などの定期購読がReaderで手軽にできたら、これほど便利なことはない。具体的なサービス開始時期は明かされていないが、楽しみに待ちたいところだ。

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