Readerの利点は、Reader Storeで購入できる本以外の形式にも対応していることだ。そのため、Reader Storeにない本でも、その他の対応するファイル形式で提供されていれば、Readerに入れて読むことができる。真っ先に思い浮かぶのは、青空文庫と自前の蔵書だ。いずれも、自分でPDF化して持ち歩くということになる。
青空文庫の場合は、比較的簡単だ。「青空キンドル」というサービスを提供してくれている方がいるので、これを利用すれば、青空文庫から手軽にPDFファイルを作成できる。ただし、PDFの場合は、Reader上で文字サイズを変更することはできない。そのため、PDF化するときの文字サイズに気を付ける必要がある。青空キンドルを利用してPDFを作成する場合の文字サイズは、「中」が読みやすいようだ。
自前の蔵書を断裁してスキャンし、PDF化するというのも、すでによく知られた方法になっている。しかし、自著を断裁してPDF化し、Readerに入れてみたところ、解像度の問題で、そのままでは文字が小さすぎて読めない状態になってしまった。これを解決するには、Readerのズーム機能を使うか、取り込み時の解像度を何らかの方法でReaderに最適化するなど、面倒な作業が必要となる。
自分で書籍をPDF化すると、1ファイルのサイズは20Mバイト〜70Mバイト程度のサイズになる。そのため、SDカードで容量を増やせるTouch Editionのメリットは大きい。ただ、実際に自分の持っている本をPDF化するには、本を断裁するためのカッターや、一度に大量にスキャンできるドキュメントスキャナなど、新たに買いそろえるにはハードルが高い機器が必要となり、手間暇もかかる。
電子書籍が注目されるにつれ、期待が高まっているのがePub形式の電子書籍だ。ePub形式の場合、Reader上でフォントサイズを変更できるので、PDF形式よりは自由度が高い。ただし、こちらもまだラインアップが豊富というわけではない。しかし、無料の本も多く、比較的低価格で本を手に入れられる。以下のようなサイトからダウンロードできる。
英語の場合、ePub形式の本も買えるサイト( http://www.ebooks.com/など)はあるが、書籍でも販売されているベストセラーのような本は価格が高めだったり、ePub形式では購入できなかったりして、「ePub形式」限定で探すのはなかなか困難であった。
Reader Storeだけでなく、その他の手段でもReaderで本が読めることは分かった。また、前回のレポートにもあるように、手書きのメモ機能や音楽再生機能もあるReaderのガジェットとしての価値は高い。しかし、あくまでもReaderに求めるのは、「好きな本をいつでもどこでも読めること」である。そのために、ぜひともReader Storeの充実を図り、より魅力的なオンライン書店になってもらいたいと切に願う。
今後、地道に蔵書を増やして、Readerのユーザーを増やせれば、電子書籍での出版もあたり前の日が来るかもしれない。Reader StoreとReaderには、その牽引役を担ってほしいものだ。
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