Project創刊号の「表紙」にあたる動画を飾るのは、間もなく公開予定の映画「トロン:レガシー」の主演俳優Jeff Bridgesだ。その動画は、点滅する光と、ノイズと環境音楽的なブーンという電子音を伴っており、映画「ソーシャル・ネットワーク」の多くの場面で流れるバックグラウンドノイズに似ていなくもない。Bridgesに関する記事(そのタイトルは「DUDE, SERIOUSLY」だ。カルト映画「ビッグ・リボウスキ」でBridgesが演じた役柄「デュード」にちなんでいる)は、海岸をゆっくりと歩くBridgesの背後で、飛び散る波の動きが加速していく洗練された映像を採用している。
Projectは、美しく高速だ(ダウンロード時間は10分を超えるが、閲覧中はほとんど遅れを感じない)。鮮やかな熱帯魚のいる水族館が持つような視覚的な魅力と、砂場が持つような手を出してみたいと思わせる力に満ちている。ただし明白な問題点もある。それはもちろん、ハイテクを駆使した装飾が非常に多いために、Projectが本質的には雑誌であり、雑誌は本来読むものだという事実から実際に逸れているのではないかということだ。音声と視覚効果に気を取られることが多いと、記事自体に、また「Lexus」やパナソニックといったブランドの豪華版広告のメッセージに注意を向けるのが後回しになってしまうかもしれない。デジタル世界の注意欠陥障害の大規模な症例ともいうべきこの事態が、Projectにとって良い方に働くのか悪い方に働くのかはよくわからない。
(これと好対照をなすのは、数十年前に、コンピュータで生成された効果によって質の高い映画が亡びるのではないかと懸念されたことかもしれない。)
メディアはRichard Branson氏を手放しで称賛している。30日の発表前後にレンズを向けて回っていたテレビカメラやスチールカメラの数がその証拠だ。特にBranson氏の祖国である英国のメディアでは、そのニュース全体がProjectの輝くデジタルページの題材にもなりそうなものとして扱われた。つまり、News Corp.のCEOであるRupert Murdoch氏との競合関係という形でだ。Murdoch氏は、2010年末までに独自のタブレット向け新聞「The Daily」を創刊すると言われている。日刊新聞と月刊カルチャー雑誌を比較するのに少々無理があることはさておき、やはりこの2人の億万長者は敵対関係にあるに違いない、というわけだ。
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