NECとIntel、Microsoftの3社は11月10日、国内外のデジタルサイネージ事業について協業することを発表した。Intelのプロセッサ「Intel Core i5」「Intel Core i7」と、Microsoftの組み込み機器向けWindows OS「Windows Embedded Standard 7」を基盤に、NECがディスプレイなどを製品化する。
すでにIntelとMicrosoftは1月、デジタルサイネージ市場の開拓に注力するための戦略的協業を発表しており、標準プラットフォームの提供やコンセプトモデルの開発を進めている。また、Intelは10月、ディスプレイを活用した端末やメディアプレーヤーの設計と開発に関して標準化を推進する仕様「Open Pluggable Specifications」(OPS)を策定している。
IntelのJose Avalos氏(組み込み/通信事業部 小売/デジタルサイネージ担当部長)は、「デジタルサイネージ市場が分散化していることを当初から懸念していた。オープンスタンダードなものを提供できるようにMicrosoftと戦略的提携を結んだ」と説明。今回の3社協業については、「Intelは3社の一員として、NECにエンドツーエンドのソリューションが提供できることを嬉しく思う。これにより、さらにソリューションを開発でき、デジタルサイネージ市場の拡大につなげることができる」(同氏)と述べた。
NECは今回、IntelとMicrosoftの協業に参加することで、i5/i7プロセッサを搭載し、OPSに準拠したデジタルサイネージ専用の制御モジュールやディスプレイを製品化する。加えて、NECのデジタルサイネージ事業「PanelDirector」の商品ラインアップを拡充させる方針だ。
また、Windows Embedded Standard 7を活用して、タッチパネルやジェスチャーコントロール、顔認識技術との連動に対応したコンテンツ表示機能を強化する。さらに、NECのBIツールとMicrosoftのデータベース基盤「SQL Server 2008 R2」のBI機能を活用し、多角的に効果を測定、分析できる機能を新たに提供する。「タイムリーで効果的なコンテンツ配信がグローバルで対応できる」とNECの高石勝氏(通信・メディアサービスソリューション事業部長)は述べている。
NECは今後3年間で、システムやハードウェアを含めて650億円の売り上げを目指す。サービス面では「3年間で2ケタ億円を目指したい」(高石氏)とし、サービスメニューの拡充を図るとした。
MicrosoftのJohn Boladian氏(Group Marketing Manager, WEB Marketing)は、デジタルサイネージ分野でのアライアンス戦略について、「Microsoftのこれらのツールは、使いたいというユーザー企業には誰にでも提供する。これらのツールを特定の企業にのみ提供することはない」と話す。続けて、「今回の発表が特別なのは、NECが革新的な体制を取っていると言うこと。OPSという標準を採用した上で、これまでばらばらだった要素を組み合わせたソリューションを提供している。今のところ、このような取り組みをしている企業はほかにない」と述べた。
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