Adobeの電子雑誌ソリューションはどんなもの?--Adobe MAXで聞く - (page 3)

柴田克己(編集部)2010年10月29日 00時21分

--Adobeのソリューションによって、電子出版にかかわる出版社とデザイナー、技術者の関係はどう変わるのか?

Koch 米国の出版社、特に大手は社内にデザイナーを抱えているケースも多い。その場合、現時点では社内のデザイナーは紙の雑誌の制作にかかわり、電子出版については技術力を持ったシステムデベロッパーに外注するという形をとっている。Digital Publishing Suiteでは、社内のデザインスタッフが電子出版にも携われるよう、技術的な敷居を下げることを目指している。

--Digital Publishing Suiteは「製品とサービスの組み合わせ」とされているが、どの部分がサービスとして提供されるのか。

Koch ひとつは配信の部分だ。電子雑誌を配信するためには、ネット上に置いておく場所が必要だからだ。もうひとつは「分析」の部分。読者がどんなコンテンツをどのように読んだかを記録しておき、Omniture上でトラッキングできるようになる。

 さらにもうひとつ、電子雑誌への課金システムを、App StoreやAndroid Marketなどの外で提供するものだ。「Adobe InMarket」は、各ストアに電子雑誌アプリを配信するために使える。Digital Publishing Suiteでサービスとして提供する課金システムは、電子雑誌の中で定期購読などの仕組みを提供するものになる。

 他にも考えているサービスはあるが、まずはこの3つからとなる。配信と分析のサービスは既に準備ができており、最後の課金サービスは2011年上半期中の提供を目指している。日本での提供は、それより若干遅れる可能性もある。

--広告配信システムについてはどうか?

Koch それもAdobeで提供することを考えている。インタラクティブな広告については、その効果測定も可能にする。サードパーティのアドネットワークについても、電子雑誌内のHTML部分をコンテナとして組み込むことができる。

 電子雑誌は、雑誌というメタファーを用いてはいるが、ある意味で、まったく新しいコンセプトだ。さまざまなサイズのデバイス、多様な画面解像度、読者によって違うコンテンツの読まれ方に最適化したものを作ろうとすると、これまでのコンテンツとは違った作り方になる。

 Flash Liteのチームで仕事をしていたとき、ある日本の携帯電話キャリアが端末ごとにフォントサイズの変更を認めていたために、全端末に対応するよう、1つの写真を機種ごとに54枚作らなければいけなかったというデザイナーの話を聞いた。すべての環境に対応するツールを作るのは難度の高い試みかもしれないが、電子雑誌制作に携わる職人的なデザイナーにとっても、生産性が高く、なおかつ「美しい」成果物を作れるようなツールを届けられるように努力を続けていく。

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