2010年10月22日、Windows 7は発売から1周年を迎える。それと同時に、「Windows XPプレインストールPC」の販売がいよいよ終了になる。
正確に言えば、マイクロソフトからPCベンダーに提供されるOEM版を搭載したWindows XP搭載PCの出荷は、2008年6月30日で既に終了している。今回終了となるのは、「Windows 7に付与されるダウングレード権を行使したWindows XP ProfessionalプレインストールPCの販売」だ。
ダウングレード権とは、ライセンスされたOSの代わりに、旧バージョンのOSを使用することが許諾されたもので、同一エディション、同一言語へのダウングレードが認められている。また、ダウングレード後でも、いつでも元のOSのライセンスへと戻すことができる。
Windows 7 ProfessionalおよびWindows Vista Businessには、Windows XPへのダウングレード権がついており、これを利用してPCベンダーはWindows XPプレインストールPCとして販売していた。これがいよいよ終了になると同時に、Windows XP Professinalダウングレード用メディアの提供も終わることになる。
この終了は、特に法人ユーザーにおけるWindows 7への移行にとって、極めて大きな転換点となる。
主要PCベンダーに聞いても、9月まで法人向けに出荷されるPCのうち、6〜7割が、Windows XPへのダウンロード権を行使した、いわゆる「Windows XPプレインストールPC」であったといい、依然としてWindows XPの法人需要は根強い。そうしたなかで、今後、新たに出荷されるPCはダウングレード権を持たないWindows 7へと移行することになる。市場環境がWindows 7へと完全移行することになるのだ。
10月22日までにベンダーの工場から出荷され、流通在庫となっているものについては、そのまま販売が可能だとしているが、実際にはそれほど多くないだろう。PCベンダー側も、10月22日を待たずにWindows XPプレインストールモデルの受注を終了しており、これも「最後の駆け込み需要が集中することを見越して、受注に対応するためには、10日ほど前に締め切らざるを得なかった」(ある国内PCベンダー)という措置だったのだ。その点でも、もはやWindows XPをプレインストールしたPCを、これから新規で購入するのは難しいと言っていい。
だが、完全に道が絶たれたわけではない。というのも、エンドユーザーが持つ権利としてダウングレードを行使できる場合があるからだ。
ひとつの方法は、企業を対象に実施されているボリュームライセンスを利用するという手だ。マイクロソフト、コマーシャルWindows本部 シニアエグゼクティブプロダクトマネージャの細井智氏によると、ボリュームライセンスでは過去のすべてのOSバージョンにダウングレードして利用することを許諾しているという。これを利用すれば、Windows 7のボリュームライセンス契約によって、Windows XPにダウングレードができるというわけだ。どうしてもWindows XPを利用したいというユーザーにとっては大きな意味を持つ仕組みだろう。
そして、ハードルは高いものの、個人ユーザーでもダウングレード権の行使は可能だ。OEM版、DSP版のWindows 7 ProfessionalおよびUltimateでは、その方法が用意されている。
もともとWindowsにおいては1つ前のOSまでがダウングレードの対象となっているが、Windows 7では2つ前のOSであるWindows XPにまで適用範囲を拡大しており、さらに今年7月13日以降の変更点として、この適用期間を「OEM版Windows 7の提供が終了するまで」に延長した。単純に、仮称“Windows 8”と呼ばれている次期OSが登場するまではダウングレードが可能と考えていいはずだ。当然マイクロソフトではその時期を明確にしていないが、もうしばらくの間は、この仕組みが利用できるだろう。
ただ問題なのは、この条件でWindows XPにダウングレードする場合には、Windows XPの正規版メディア、および対応するプロダクトキーが別途必要であるという点だ。
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