「価格はAmazonやGoogleと比べて1.3〜1.5倍。しかし、運用やサポートでは全く違うレベルのものを提供できると考えている」
富士通、クラウドビジネスサポート本部本部長の岡田昭広氏は、富士通のパブリッククラウドサービスの特徴をこう語る。富士通は10月1日から、パブリッククラウドの商用サービス「オンデマンド仮想システムサービス」の提供を開始する。2010年5月末から9月末までをトライアル期間とし、これまでに200社の企業がこれを利用。「バーチャルマシンの数やストレージの容量を制限していたが、中には本番環境として利用しているような企業もあり、正直なところ困った」と苦笑する。
Windows Azureなどを開発環境として活用する例が先行しているのに対して、富士通の同サービスでは顧客管理や問い合わせ用ウェブ、顧客アフィリエイトサービスでの活用など情報系での利用が多く、基幹システムとしての利用も24%と全体の約4分の1を占めているという。一方で、開発環境としての利用は16%に留まっている。
「一般的なパブリッククラウドサービスに比べて、設計の容易性とともに、安全性、信頼性が大きな特徴となる。トライアルでもこれらの点に評価が集まっている」(岡田氏)
例えば、設計に関してはGUI型の環境を用意。マウスを操作し、目的に合わせたシステム構成をテンプレートから選択することで、約10分間で設定完了するという容易さだ。さらに設計段階では、「配備」のボタンをクリックするまで、外部ネットワークには開いていない状態とし、その後SSL-VPNで接続し、仮想マシンへログイン、ファイヤーウォールを設定後、サービスを公開するという手順を踏む。これもセキュリティ面で「他社のサービスにはない仕組み」と胸を張る。
また信頼性という点では、「一般的なクラウドサービスでは、仮想サーバに障害が起こるとデータ消失の危険性があり、またストレージの多重化が不明だったり、仮想サーバの性能保証がない。富士通のオンデマンド仮想システムサービスでは館林データセンターを活用し、障害時は自動的に待機の仮想サーバに引き継ぎを行う。また、ストレージの多重化や仮想サーバの性能も保証している。サービスレベルは、他のサービスが99.95%程度であるのに対して、富士通は99.99%を保証する。運用監視においても、他社が運用管理ツールを有償で提供しているのに対して、このサービスでは標準で提供。死活監視や通報も行う。品質に厳しい日本の企業において、安心して利用してもらえるものとなっている」とする。
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