10月からの正式サービスの提供では、トライアルの中で要望が高かった仮想ICTシステムの構成テンプレートを10種類にまで拡充。ネットワーク接続機能、ユーザーコミュニティ機能などを新たに追加し、より信頼性と利便性を高めた。
また、富士通のマルチキャリア通信サービス網「FENICS」と連携させることで、閉域通信サービスを利用。ユーザー専用のクラウド環境を実現できるほか、すでに館林データセンター内で稼働しているICTシステムと今回のサービスを連携させることで、既存ICTシステムとのハイブリッド化をシームレスに実現できるとしている。
岡田氏は、「このサービスで低価格競争に踏み込む考えは毛頭ない」と言い切る。だが、当初は仮想サーバ1台あたり1時間31円からと想定していたものを、1時間25円からとした。この点では、やはり市場動向を意識しないわけにはいかなかったようだ。
しかし、「今回のオンデマンド仮想システムサービスは、あくまでも信頼性、安定性を前面に打ち出したサービス。安値は狙わない。世界初の3階層に対応したパブリッククラウドサービスという点では、比較するサービスがないともいえる。価格という観点で対抗するには、国内においては、ニフティが提供するクラウドサービス、あるいは国内外向けにはマイクロソフトとの提携によって提供するAzureがある」とする。
富士通では、今回のオンデマンド仮想システムサービスについて、開始から1年間で1000社への提供を目標としているという。トライアル時から高い評価を得たようで、トライアルに参加した200社のうち、7割にあたる約140社が本番サービスへそのまま移行し、60社が検討段階にあるという。
次のステップはグローバル展開となる。年末から年始にかけてはオーストラリア、シンガポールで、3月までには英国、ドイツ、米国でも同様のサービスを提供する。2011年度には今回のサービスで約400億円規模の売り上げを想定するという。日本品質のパブリッククラウドサービスが、日本の市場で、そしてグローバルの市場でどれだけ受け入れられるかに注目したい。
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