中堅・中小企業にとって理想的なリモートデスクトップサービスとは(前編)

岩上由高(ノークリサーチ)2010年09月07日 11時00分

 昨今、「リモートデスクトップ」に対するユーザ企業の関心が高まっている。社外や自宅からでも社内のデスクトップ環境へアクセスし、通常と同様に業務をこなすことができるソリューションである。パンデミックなどの危機対策に限らず、ワークライフバランスを目指した在宅勤務や少子高齢化に伴う在宅介護などといった長期的な視点も踏まえると、リモートデスクトップの重要性は増していくものと予想される。

 リモートデスクトップは大企業だけでなく、中堅・中小企業においても関心が高まっている。以下のグラフは年商5億円〜500億円の中堅・中小企業に対し、「今後活用したいと考えるクライアントPC関連ソリューション」を尋ねた結果である。「クライアントPC内のデータを安全な場所へ自動保存する」と並んで「自宅や社外でも自社内と同じOSやアプリケーションを利用できるようにする」が多く挙げられていることがわかる。デスクトップ環境を場所に依存せず、安全に利用したいと考えるユーザ企業は年商に寄らず数多く存在しているといえるだろう。

 大企業においてはクライアントPCの運用管理コスト削減とリモートデスクトップを同時に実現する手段としてデスクトップ仮想化に注目が集まっている。だが、自社内でデスクトップ仮想化を実現するには相当の投資が必要だ。仮想化されたデスクトップイメージをホストするためのサーバやストレージ、それらを管理するためのツール、ポリシー管理や資産管理を担う人員など投資項目は多岐に渡る。大企業はクライアントPC台数も多いため、それらを一括管理することよって得られるコスト削減効果も大きい。だが、クライアントPC台数がそこまで多くない中堅・中小企業にとって、デスクトップ仮想化はまだコストがかかり過ぎるソリューションであるのが現実だ。

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