中堅・中小企業にとって理想的なリモートデスクトップサービスとは(前編) - (page 2)

岩上由高(ノークリサーチ)2010年09月07日 11時00分

リモートデスクトップサービスの3つの形態

 中堅・中小企業にとって最も負担になりやすいのがデスクトップ環境を集積し、それらをホストするサーバ環境の構築/運用だ。逆にいえば、そこをうまく回避すれば中堅・中小企業にとっても無理のないリモートデスクトップソリューションが提供できる。実際、既に幾つかのソリューションが登場してきている。以下で順に解説していくことにしよう。

  1. 1to1型のシンクライアントサービス 社内に普段置かれているクライアントPCと社外や自宅で利用するシンクライアントを1対1で接続し、社内のクライアントPCを操作する方式である。社内デスクトップ環境をサーバに集積する必要がなく、既存のクライアントPC環境に影響を与えない分だけ導入が容易になる。

    具体例)
    ソフトブレーンインテグレーション 「ビジネス・ゲート・プレミア」
  2. WebOSを採用したデスクトップサービス ブラウザで利用可能な専用のOS環境(WebOS)を用意し、そのOS内で業務を遂行する。Microsoft Officeなどの既存文書は互換性を持った専用アプリケーションで参照/編集を行う。リモートPC側はブラウザが利用可能な環境さえあれば良いため、モバイル性に優れている。

    具体例)
    NTTコミュニケーションズ「Bizデスクトップ ベーシック」
  3. デスクトップ仮想化サービス(DaaS) デスクトップ仮想化をSaaSとして提供するものであり、DaaS(Desktop as a Service)とも呼ばれる。ユーザ企業の代わりにデスクトップ仮想化に必要なハードウェア環境を提供し、運用管理業務を実施してくれるサービスである。リモートPCとしては既存のPCを利用可能だ。

    具体例)
    丸紅 「VirtuaTOP」
    NTTコミュニケーションズ 「Bizデスクトップ Pro」

 これらはいずれも

  • デスクトップ環境をホストするためのハードウェア投資が不要
  • リモートPC側にデータを残さない
という特徴を持っている。冒頭のグラフで示したように中堅・中小企業がリモートデスクトップと併せて、クライアントPC内のデータ保全に高い関心を持っている点を踏まえるとこれらは中堅・中小企業のニーズに良くマッチしたサービスといえるだろう。

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