「われわれが既存事業を崩さなければ、他者がそうするだろう」
上のスライドは、Microsoftが開催するWorldwide Partner Conference(WPC)で、Microsoftが公開したプレゼン資料の1つだ。Microsoftはクラウドへの移行を図っており、WPCでも約1万4000人の参加者にこの動きに倣うよう呼びかけている。このプレゼン資料は、Microsoftおよびパートナー企業がなぜオンプレミスソフトウェアの売り上げへの依存を少しずつ、だが確実に軽減しながら移行する必要があるのかを説明するかなり現実的なものといえる。
しかし、個々のセッション以外では、最高執行責任者(COO)のKevin Turner氏をはじめMicrosoft幹部のメッセージは主に高レベルで鼓舞するような内容だった。
Turner氏は米国時間7月14日に行った基調講演で、「われわれは商用クラウドサービス分野で明白なリーダーだ」と述べた。「クラウドサービスに賭けるために、全社的にリブートし、軸足を移し、変革を図っているところだ」(Turner氏)。
Turner氏はパートナー企業に向かって、Microsoftの最新の目標は、「あらゆるユーザー、あらゆる企業に継続的なクラウドサービス」を届けることだ、と語った。これを20年がかりの取り組みと形容し、パートナー企業が新しい収益チャンスを見出せる分野になる、とTurner氏は述べた。
クラウドは2010年のWPCでの最大のフォーカスとなった--Turner氏らはパートナーに「クラウドでリード」すべきと述べた--が、現実では、Microsoftはソフトウェアという最大の収益源をあきらめていない。
パートナー企業は、「Windows 7」「Office 2010」「Internet Explorer(IE) 8」およびIE 9(Turner氏がいうところの「トリプルプレイ」)の販売にフォーカスすべきだとTurner氏は述べる。Turner氏によると、Microsoftのインストールベースの85%がいまだに「Windows XP」「Windows Vista」を動かしているという。52%が古いIEを利用しており、63%が古いOfficeを利用しており、アップグレードのチャンスがある、とTurner氏は語る。
Turner氏は、Microsoftの主要な競合企業はGoogle、Apple、VMware、Linux、Oracleとし、同氏がパートナーカンファレンスでいつも行うように、それぞれに対して攻撃してみせた。
たとえば、Appleについては、「『iPhone 4』は、AppleでのVistaのようだが、わたしはそれで一向に構わない」などと述べた。
Turner氏は参加者に向かって、Microsoftはパートナーと協業して「iPad」に対する製品を開発しているところだ、とも述べた。これは、最高経営責任者(CEO)のSteve Ballmer氏も会期中に語ったことだ。Ballmer氏はこのとき、2010年に最新の「Windows 7」ベースのスレートが登場するとし、Microsoftは10を超えるPCパートナーと共同で、Windowsベースの最新のフォームファクタを作っているとも述べた。Turner氏はこの日、フォーカスはスレートとタブレットの中間で、コンテンツの利用と作成の両方が可能になると述べた。
パートナー向けとしては、パートナーが自社内で「Business Productivity Online Suite (BPOS)」 や「Dynamics CRM Online」などのMicrosoftのクラウドサービスを採用できるようにするため、クラウドにフォーカスした販売ツールとプロモーションを発表した。
Turner氏は基調講演に参加したパートナー企業に、「クラウドではあらゆるパートナー企業にチャンスがある」と語った。パートナー企業はMicrosoftのクラウドサービスを「構築し、話をし、販売し、サポートを提供する」ことができる。クラウド向けの予算の立て方、どのアプリケーションをクラウドに移行させ、どのアプリケーションを残すか、レガシーアプリケーションをいつ、どのように書き換えるのか、などについて顧客に助言できるのはパートナー企業だと提案した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」