ISO規格のコンテナなんて流行遅れ。注目すべきは、空冷だ。
これは、Microsoftが公開したホワイトペーパー「A Holistic Approach to Energy Efficiency in Datacenters(データセンターにおける消費電力効率化に向けた包括的アプローチ)」で書かれていたことだ。
このホワイトペーパーの著者である、Microsoftの上級エンジニアDileep Bhandarkar氏は、クラウドデータセンターの稼動と冷却についてMicrosoft Global Foundation Servicesが学んだことのいくつかを記している。
(Global Foundation Services--GFS--はMicrosoftの一部で、自社のさまざまなクラウドサービスを支えるインフラを提供している。「Hotmail」「Bing」「Business Productivity Online Services」「CRM Online」「Azure」など、Microsoftが「クラウド」とするサービス全てを動かすさまざまなデータセンターサーバを運用している)
GFSチームは、既存のデータセンターで行った「直感的ではない」変更のいくつかが消費電力の25%改善につながったことを発見した。これには、データセンターの屋根を清掃し、白に塗り替えたこと、外部に装着した空調設備の周りにコンクリートの壁を移して空気の流れを改善したこと、などがあるという。
消費電力効率化につながった直感的な変更もある。Microsoftは、不要なコンポーネントを削減して効率のよい電力供給と電圧変換装置を利用する「サーバサイズの適正化」を推進している。また、ISO標準コンテナがサーバを“コンテナ収納”する最善の手法であるという考えからも距離を置いている。ホワイトペーパーには以下のように書かれている。
われわれはシカゴに設置したコンテナから多くのことを学び、便利なツールとしてのコンテナ化に傾倒しつつある。将来の設計という点からみると、最善のコンテナとはISO標準を満たすコンテナではないというのがわれわれの考えだ。われわれはまた、ダブリンのデータセンターで経験した空調関連の節約からも多くを学んだ。サーバメーカーとの話し合いを通じて、われわれのサーバの運用レンジを拡大し、ほとんどの時間に無料の空気冷却を利用できると確信している。サーバのコンセプト設計とその後の独自の「IT Pre-Assembled Component(ITPAC)」デザイン(上の写真参照)はわれわれに、未来のデータセンターへの新しいアプローチをもたらした。
Microsoftは、気候によってはデータセンターの冷却は空気による冷却で十分だとしている。ホワイトペーパーでは、蒸発冷却器は温度が華氏90〜95度(摂氏32〜35度)以上であれば必要としている。第2の手段として空気や水を利用する冷却装置を加えると運用コストは増えるが、ときどきしか利用しないため、結果として全体の電力消費は削減できることがわかったという。
ホワイトペーパーではまとめとして、以下のように記している。
Microsoftは、自分たちの将来のデータセンターを伝統的なモノリシックな巨大なメガデータセンターからのパラダイムシフトを進めるものとみている。モジュラー形式のコンポーネントを利用することで、コストと時間を改善できる。モジュラーアプローチにより、初期投資を減らし、ビジネスの需要に合わせてタイムリーにキャパシティを拡張できる。
データセンターの消費電力改善と保守強化に取り組んでいるベンダーは、Microsoftだけではない。たとえばAmazonでは、元MicrosoftのJames Hamilton氏(現在はAmazonのバイスプレジデント兼上級エンジニア)がクラウドデータセンターの性能とアーキテクチャの最適化に継続的に取り組んでいる。
Microsoftは数社のOEMと組んで、先に発表したバーチャルプライベートクラウドのパッケージ「Windows Azure Appliances」経由で顧客にプライベートクラウド機能を提供するための作業を進めている。Microsoftは自社データセンターで学んだ多くのことを、パートナー/顧客がホスティングするデータセンターでも利用できるようにするのではないかと予想する。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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